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学校帰りの小さな幸せ


学校帰りの小さな幸せ







学校の帰り道に、渚が何か食べたいと騒ぐのでコンビニに寄ることにした。
必然的に渚がコンビニに行く事になると渚のお兄さんであるカヲルさんもついて来る事になり、カヲルさんがついてくると当然のように僕の兄もついて来るのだった。

カヲルさんが好きな気持ちは分かるよ、渚に似て美人でそれでいて優しいから。
それは分かるけどやっぱり一から始終ずっとついて回るのはどうかと思う。
これをカヲルさんに聞いたら彼なりの愛情表現だよ、と軽く受け流した。
大人だなぁ、渚とは大違いだ。
いや、渚は渚なりの可愛さがあるんだけどもう少しお兄さんを見習って大人しくなれないものかな。

「あ、シンジ君何買ったの?」
「…肉まん」

隣でアイスを食べてる渚がいいなぁ、と意味ありげな視線で此方を見てくる。
なんだよ、もう寒くなる時期にアイスなんか食ってるのが悪いんだろ!
渚は冷たい僕に構うのに飽きたのか、今度は僕らの前を歩くカヲルさんと実はスケベな兄さんに声をかけた。
見かけによらずカヲルさんにだけはデレデレしてるんだよね、僕の兄さん。

「兄さぁん」
「ん?なんだい?」
「何買ったの?」
「おでんだよ」

そう言ってカヲルさんは大根を口の中へと運ぶ。
そんなに大きくて熱そうな大根、まるごと食べたら火傷しますよ。
一方僕の兄さんは大根を頬張ったばかりのカヲルさんに満面の笑みでたまごをあーん、(所謂恋人がやるあれ)と口元まで持っていっていた。
なんでそんなに嬉しそうなんだ、兄さん。
僕とご飯食べてる時はムスッとしてる癖に。
鼻の下伸びてるぞ、このムッツリスケベめ。

「シンジ君」
「何?」

一人前を歩くバカップルにツッコミを入れていたら、渚が服の袖を引っ張ってきた。
何?寂しいの?
それともおでんが食べたかったのか?
前の二人が羨ましくなったのか?
だったらあーん、の役は渚がやれよ。
あ、嫌なら僕がやってやったって構わないぞ。

「肉まんとアイス交換しない?」

上目遣いで食べかけのアイスを差し出して来た。
…可愛い。
正直そんな顔で見られたら交換せざるを得ないだろ!
と交換したはいいものの

…アイス半分もないじゃん。
というか後一口じゃん。
それに反し僕の肉まんはまだ3分の2以上残ってる。
さ、詐欺だぁぁぁあ!

「熱っ」
「あ、すまないね」
「いいよいいよ、へへっ」

あーん、の役を交代したのか、前からは楽しそうな声が聞こえてきた。
へへっ、ってなんだおい。
視線を横に戻すと、渚があっという間に肉まんを食べ終わっていた。
食べるの早っ!
さよなら渚の大きな口の中に消えていった肉まん。
肉まんを食べて幸せそうな渚。
それを見て嬉しくはなるものの僕は交換しなきゃよかった!と今更後悔。
だって食べたいから買ったのに…


…ねぇ、なんだか僕だけ損してない?



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この時期になるとコンビニおでんや肉まんが美味しいですよね、という事でシンカヲに食べていただきました(笑)
この組み合わせになると何故か貞シンが苦労人にまわってしまいます(笑)


あきゅろす。
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