嘘つきの顔
「約束だよ」
と言って指切りをした。
ずっと一緒にいよう、とかいつか二人笑いながら夕日を見ようとかいうただの口約束。
口約束だけど、約束は約束。
「…嘘つき」
最初に約束を破ったのは、渚の方じゃないか。
約束だよ、と言った時の顔とか指の感触とか声のトーンとか、まだ全部覚えてる。
その時、渚は悲しそうな顔をしてた。
忘れようとしても忘れられない。
きっと何か意味があったのに、どうして気付かないフリをしてしまったんだろう。
あの時、もっと早く気付けばこんな事にならなかったのかも知れない。
「消えちゃうなんて、聞いてないよ…」
自分から約束を破って、ズルい。
まだ約束の内容、果たせてないよ。
だから帰って来いよ、渚…
嘘つきの顔
.
3万HIT記念に書いた作品です
無料HPエムペ!