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夏休みチルドレンズ

「信じられない!何でクーラーが壊れる訳!?」

一年中夏の日本、ある日突然事件は起きた。




「暑い…」
「そうだね…」
「カヲル君…」
「あんた言ってる事状況と違うわよ」

炎天下の中ミサトのマンションでだらりと過ごす四人の少年少女がいた。
クーラーは壊れてしまったようで、扇風機も団扇もない。
ある者は床に寝そべっており、ある者はテレビを見ており、ある者は暑い中友達に抱きついており、ある者はのんびりと笑顔を浮かべながら相づちをうっている。
何れにせよ皆暑さにぐったりだ。

「ねぇ誰かアイス買って来てよ」
「…誰がだい?」
「……私は嫌」
「僕だって」

この暑さだ、皆外に出たくないのは同じ。
結局アイスの件は保留になった。

「痒い…」
「…痒いの?」
「暑いんじゃなくて?」

シンジが突然痒いと言い出した。
どうやら虫に刺されたようだ。

何もせずにただだらけていたのだ、虫が絶好のチャンスと思って寄ってきたのかも知れない。

「良かったわね、虫に好かれて」
「嬉しくないんだけど」
「シンジ君は虫と共存しているんだね」
「ちょっと待ってカヲル君、君が何を言っているのか分からないよ」
「よかったわね」
「綾波まで…」

虫に刺された途端急に皆が冷たくなった気がする。
もしや虫刺されには何か呪いがあるのではないだろうか。
シンジはひっそり虫を恨んだ。
しかし実際は呪いでもなんでもなく近くに虫がいたら自分も刺されるかも知れないという何とも自分勝手な理由で警戒心を高めていたために返答が甘くなっただけだった。

「あ、蚊」
「フィフス、ハエ叩き」
「はい」
「エーストゥ!」
「掛け声おかしいでしょそれ」

アスカの変な掛け声に会わせて蚊は叩きのめされたかに思えた。

「うわ、また刺された!」
「おめでとう」
「この際カヲル君も刺されてペアルックになろうよ」
「虫刺されは残念ながらペアルックとは言わないね」
「…痒い」
「綾波が刺されてもなぁ…」
「ち、仕留めそこなったわ…まあいいわ、私に害はなかったし」

幸い蚊は全開に開けた窓から逃げて行った。
きっとアスカの変な掛け声に驚いたのだろう。

「痒いわ」
「痒いね…」

しかし蚊のお陰で当初の暑いから気を紛らわす事に成功した。
刺された人は災難以外のなんでもないが。
痒い上に暑いが加わって最悪でしかない。

「どうにか痒みを収えられないかな…」
「前に老人達に爪でバッテンをつけると痒みが収まると聞いたよ」
「老人って誰」
「………」
「何か言いなさいよ!?」
「まあいいや、やってみるね」

シンジはカヲルの言った言葉を信じ、虫刺されの上に爪でバッテンのをつけてみる。

「……デベソみたい」
「で、デベソって何だよ!というか痒いよカヲル君!」
「…まあ試した事はないと言っていたけどね」
「カヲル君それ確実にガセネタ!」

痒みを収えよう作戦1、失敗。
腕にデベソのようなものを作って終わった。

「あ、冷やすと良いらしいわよ」
「本当…?」
「何でフィフスのは信じて私のは信じないのよ」
「そういえばフィフスは態度も体も冷たいわね」
「どういう意味だい?」
「じゃあカヲル君、僕が心も体も暖めてあげ…ゴフッ!」

軽く変態染みた発言をしたシンジにアスカは華麗なアッパーを食らわる。
バキッ、ととても良い音がしてシンジの体は空中へと舞い上がった。

「って事ではい、氷」
「ありがとう…」
「どう?」
「…腕が疲れる。もっと効率的なものはないの?」

冷やしてみよう作戦、腕の疲労により失敗。

「あぁ痒い…」
「待って、ムヒを持って来るよ」
「最初からそうすればよかったじゃない…」
「ありがとうカヲル君…!」
「君の為なんかじゃないんだから…!」
「あんたがそこでツンデレをやる意味が分からないんだけど」
「今の流行りにのってみようと思って」
「変な事覚えてんじゃないわよバカヲル」
「はい、ムヒ」
「へへ…ありがとう…」
「へへって何!?」

こうしてシンジ達の快適な夏は過ぎていったのであった。

「あぁ!宿題やってない!」
「大変だね」
「…カヲル君はもう終わったの?」
「あんなもの3日もあればすぐに終わると思うけど…?」
「3日!?」



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3万HIT記念に書いた作品
特にリクはありませんでしたがアビスよりエヴァの方が票が上だったので(笑)


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