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君と歩く

僕は全力でカヲル君の後を追った。
…が、意外にも彼の足は早く、すぐに見失ってしまった。

「カヲル君…どこ行ったのかな… 」

外をとぼとぼ歩きながらカヲル君を探す。

「…!」

銀色の髪に細い体つき、探し人は案外早く見つかった。
…だけど一人じゃなかった。

「あれは…綾波…?」

落ち込むカヲル君の横で一緒に歩いている。
一体どういう経路で会ったのかな…

「……」
「あっ…」

綾波と目が会い思わず声が漏れる。
綾波は立ち止まりこちらをちらっと見た後カヲル君の方を向き何かを耳打ちした。
すると綾波はカヲル君の手を握って再び歩きだす。
カヲル君を傷つけないためか、僕を見せない用に。

「…」

二人はもう行ってしまった。
僕はそんなに悪い事をしたのだろうか?
本当ならあの手を握っているのは僕なのに、本当ならあの隣を歩いているのは僕なのに、そう思うと急に綾波が、自分が憎くなった。
もう一度、君と歩きたいよ…


…向こうから歩いて来る人に肩がぶつかり地面に尻餅をつく。

「気をつけろ」
「…すいません」

僕は、何をやっているのだろう。
上を見ると鴉が馬鹿にしたように鳴き声を上げていた。





君と歩く

(君の隣を、歩きたいよ)


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