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君と触れる

「ミサトさんっ…!」
「シンジ君…」

ネルフについた僕は、すぐにでもカヲル君の元へ行きたい気持ちを押さえ、ミサトさんに状況を聞く。
しばらく閉じ込もってた理由も聞かず、ミサトさんは応答してくれた。

「カヲル君は…カヲル君は無事なんですか!?」
「シンジ君落ち着いて」
「カヲル君は…ねえミサトさん、答えてよ!」
「…無事よ」
「本当…ですか?」
「でも四号機は大破、渚君もかなりの重体よ」

やっぱり、僕が思った通り。
僕はその後ミサトさんにカヲル君のいる病棟を聞き、急いで駆けつけた。
胸の奥がバチバチする。
馬鹿みたいに胸騒ぎ。
今までこんな事なかったのに。

「カヲル君…!」

勢いよく扉を開ける。
ベッドには、包帯をまいたカヲル君が眠っていた。
起こさないように静かに、そっと近づく。

「カヲル君…?」

よく眠っているみたいで、声をかけただけでは起きそうにない。
起こそうか?
でも、カヲル君だって疲れてるんだ…
今はこのまま眠らせておこう。

僕はベッドの近くにあった小さな丸椅子に腰かけてカヲル君の寝顔を見つめる。
綺麗な寝顔。
顔にはあの時の綾波のように包帯が巻いてある。
右腕も骨折したのか、重度な処置が施されている。

それ以外目立った外傷はないみたいで、少し安心した。

「カヲル君…」

こうしてまじまじと見ていると、凄く綺麗。
…カヲル君は綺麗、まるで天使のよう。
僕はそっと右手をカヲル君の頬に寄せる。

大丈夫、起きない。
そのままカヲル君の顔に自分の顔を近づける。
大丈夫、起きるわけがない。
目標をとらえ、静かに目を瞑り、彼の唇に自分の唇を重ねる。

「っ…」

唇を離す。
あれ、僕は今何を…

思わず自分のした行動に目を見開く。
そう、今僕はカヲル君にキスをした…?

僕はしばらく顔を赤くして、身動きすらとれなかった。
自分がした事に自分で混乱した。
もしかして無意識のうちに?
だとしたら……ただの変態じゃないか。
見られていたら…考えると絶望的な気分になる。

でもカヲル君が眠っていて良かった…

「…また…来るね」

眠るカヲル君に言葉を告げ、顔の火照りが冷めないうちに僕は病棟を後にした。
今度は、ちゃんとお見舞いを持って来よう。






君と触れる

(君に触れるだけでこんなにも)



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