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君と笑う

カヲル君と親しくなって、普通に話をして、大声出して笑って。
周りから見たらいつもどうり普通の僕達かも知れない。
だけど僕の心情は違う。
今日、カヲル君とちゃんと話をして、僕の気持ちにけりを付ける。

ひょっとしたらカヲル君の顔から笑顔がなくなってしまうかもしれない、自分勝手な告白。
それでも良い。
はっきりさせたかった。
心のモヤモヤを無くしたかった。

「あのさ、カヲル君」
「なんだい?シンジ君」

今までけらけら笑っていたのに、僕は急に真剣な顔でカヲル君を見る。
それでもカヲル君の顔からいつもの笑顔が、微笑みが消えることはない。
だってそれがカヲル君だから。

「あの…カヲル君は綺麗だと思うんだ」
「そうかい?」
「うん…それに、可愛いとも思う」
「…そうかい?」

さりげなく、自然な話しから始める。
でもなんだか全然自然な感じがしない…
だんだんカヲル君の頭の上にクエスチョンマークが出できているのがわかる。
もうこの際思い切った方が良いのかも。

「だ、だからね、その」
「うん…?」

カヲル君は僕を焦らせずに、ゆっくりと僕の話しにペースを合わせてくれる。
それもカヲル君の良いところ。
何も言わず、最後まで聞いてくれる。

「伝えたい事があるんだ」
「伝えたい事?」
「うん」

こうゆう時ってちょっと緊張する。
いざとなるとなかなか言えないのは僕が臆病だからかも知れない。
だったら、今ここでその臆病者を辞めてやる。

「好き、なんだ」
「好き?誰がだい?」
「カヲル君が…」
「僕もシンジ君の事は好きだよ?」

解ってる、解ってるけどそれはきっと友情の方の好きなんだ。
でも僕は…

「僕はカヲル君の好きとは違うんだ」
「違う…?どう違うんだい?」
「友情とは違う、恋愛対象としてカヲルが好きなんだ」
「…」
「あ、その…気持ち悪いよね…ごめんっ…!」

僕は思わず自分が言った事が急に恥ずかしくなってきてその場から逃げ出した。
だって、カヲル君の顔を見るのが怖かったから…
やっぱり言わなきゃ良かった、心の中でずっと残るもやもやと嫌悪感。
もしかしたら、いや、完全に嫌われたかも…


家に帰ると、気がだるくなってベッドに横になって天上を眺めた。

「明日…どうしよう」

気だるさが頭の中でぐるぐる回ってる。
どうしようどうしようどうしよう、それだけが呪文のように頭の中で脳内リピート。
僕は不安になりつつもとりあえず重い瞼を閉じ、軽い眠りについた。





君と笑う

(笑い会えていたあの日)


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