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一日一回
私には一日一回、必ずやる事がある。
一つじゃなくて山ほど。



一日一回




まず一つ目。

「アスカ、おはよう」
「ハロー、ヒカリ」

学校に通う事。
面倒くさいけれど、これは義務教育ってやつね。
土日はないんだけど…
とゆうか土日どころか毎日なくして欲しいわ。
二つ目。
私はあいつの席に座る。
しばらくして、貧乏ゆすりを始める。
しょうがないわ、貧乏ゆすりなんて誰だって苛ついたらするものよ。
でもそれにしても…

「…遅い」

遅い、遅い、遅いのよ!
何であいつはいつも来るのが遅い訳!?
学校に着いたのは確か7時45分、今は…50分!?
あの時計、狂ってるんじゃない?
どちらにしても待ってる側って時間が長く感じるのね…
苛々するからお手洗いにでも行くわ…と、廊下に出たら

「や、セカンド」
「っ…!遅い!」

やっと来た。
二つ目はフィフスチルドレンこと渚カヲルと話しをする事。
何でって?
は、話したいんだから別に良いでしょ!
三つ目。
学校が終わって荷物をまとめて…

「セカンド、じゃあ行こうか」
「そうね、さっさと行きましょ」

フィフスと二人で仲良くネルフに向かう。
フィフスと今日の授業の事とか他愛もない事を話ながら歩くの。
シンジやファーストも誘って一緒に行けば良いのかも知れないけど、私は二人っきりで行くのが好きだった。
だってフィフスといる時間はシンジといる時間より少ないもの。
少しの間でも長く一緒にいたいってもんよ。
…べ、別にただの日課だからね!?
四つ目。

「はあ…疲れた…」

シンクロテストが終わって、シャワーを浴びて、帰る準備をする。
でもすぐに帰る訳じゃない。

「フィフス、いるんでしょ!」

今は閉じられたドアをドンドンと叩く。
私が向かったのはフィフスの家。
といってもネルフの一室なんだけどね。

「はいはい」

ドアの奥から面倒くさそうな声がして、ドアが開く。

「まったく、もっと早く開けなさいよね」
「今ご飯を食べていたんだよ」
「ご飯なんかより私の方が大事でしょ?」

とりあえず開いたドアから図々しく室内に上がり込む。
相変わらず白くてたいした家具も置いてない殺風景な部屋。
テーブルの上には、食べかけのご飯が置いてある。
だけど私にとっては居心地が良い場所。
それはきっとこいつが一緒にいてくれるからかも知れない。

「私にもなんか作ってよ」

私は毎日必ずこいつの家で晩御飯を済ます。
別にシンジの料理が嫌な訳じゃないわ。(ミサトの料理は嫌だけど)

「しょうがないな」

フィフスは立ち上がって台所で何かを作り始める。
何だかこういうの、夫婦みたいでいいわね。
そのうち部屋中に良い匂いがただよう。
何を作っているのかしら?

「はい」

そう言って私の前に差し出されたのは美味しそうなご飯。
手抜きっぽいけど男料理だもの、仕方ないわね。

「いただきまーす」

手を合わせてご飯を食べ始める。
フィフスはさっきの食べかけを再び食べ始める。
シンジの味には敵わないけど、それでも十分ミサトの料理よりは美味しいわ。
…ミサトのが料理って呼べるかは微妙な所だけどね。

「美味しいかい?」
「美味しいわ」

今度こいつと料理を作るのもいいかも知れない。
あまり会話をしないうちにご飯はあっという間に食べ終わってしまう。
でもこのままただ帰るのも寂しいから少しだけのんびりしていく。
私の、一番好きな時間だ。

「帰らないのかい?」
「もう少しここにいさせて」
「シンジ君達が心配するんじゃないかい?」
「そんなの良いわよ、別に」


あいつらといったって息苦しいだけ。
こいつが心配してくれるのも解るけど、フィフスと一秒でも長くいたい。
…私今結構大胆な発言したわね。
その前にこいつは私の気持を理解してないのかしら?

「じゃあね、フィフス」
「うん、また明日」

フィフスに途中まで送ってもらって別れを告げる。
ちょっと惜しい気もするけど、帰らないとミサトが煩いもの。
また明日も来る事を約束し、私は振り返らず家への道をたどった。最後に五つ目。

「…ただいま」
「おかえり」

それは家に帰る事。
お風呂に入って、ちょっとした物を食べて、ミサト達と話をして、自分の部屋に入ってベッドにダイブする。
ベッドでシーツに潜り込むと、長い一日の疲れが何だか癒えていくよう!
そして明日の事を考えるの。
明日はフィフスと何を話そう?明日はフィフスは何を作ってくれるのかしら?
考えただけでもわくわくしてくるわ!
何だかフィフスと出会えてから退屈だった毎日が急に一変した感じがするの。
これってやっぱりシンジ達に抱く感情とは違う…もしかしたら好き、なのかも知れない。
そうだ、明日は早く起きてフィフスを迎えに行ってやろう。
そしたらあいつ、どんな反応するかしら?
驚くかも。
いや、案外普通の反応かも…
どんな反応か楽しみ。
ああもう、こんな事考えてないで寝よう!
明日起きれなくなるわ。
早く明日が来ないかしら?
わくわくする気持を押さえて、私はゆっくり瞼を閉じた。






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