[携帯モード] [URL送信]
例えば。
「渚」
「何?」

カヲルが声のする方を向くとシンジがやけに真剣な顔で見つめて来ている事に気付いた。

「渚は消えたりしないよね」
「…何言ってんの」

急にそんな事を言われても返答に困ってしまう。
なんて答えればいいのだろう。

僕は消える運命なのに…

「綾波みたいに人が急に変わったり、アスカみたいに植物状態になったりしないよね」
「、」

カヲルの瞳が動揺に揺れる。
寂しそうな、不安そうな目でシンジはずっとカヲルを見つめ続けている。
実際寂しいし不安なのだろう。
そのような目をされると余計に答えづらくなってしまう。
自分の正体、そして運命という名の鎖。
教えづらく、なってしまう。

「シンジ君、僕は…」
「それとも」

「渚も僕を置いてく訳?」

ズバリと言い当てられて声が出ない。
だって本当の事なのだから。
自分は使徒で、いつか消えなければならない。
…それでもシンジの目はとても不安そうで、本当の事が言えなくなった。

「僕はずっと側に居るよ」
「…嘘だ」
「嘘じゃないよ」

嘘、だけれども。
例え嘘でも、優しい嘘なら誰かを助ける支えになる。
少し疑う用な素振りを見せたシンジだったが、カヲルの瞳を見て安心したのか柔らかな顔つきになる。

「だってシンジ君僕がいなかったら多分自暴自棄になりそうだもん」
「自意識過剰…」
「べ、別に良いじゃん…」

だから、せめて僕が居なくなるその時までは一緒に居てあげよう。
僕が居なくなった後、彼が一人で生きて生けますように。


例えば。



あきゅろす。
無料HPエムペ!