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シンカヲ
もしこの世界が消えてしまってもいいというなら、それはキミがいなくなった時。
キミがいない世界なんて、馬鹿馬鹿しくて生きていけない。
みんなみんな、僕の敵。
キミの隣が心地いい!

「シンジくん、見て」

流れ星、カヲルくんが指差した空には沢山の星屑があって、この世界に希望をもたらすかのよう。
僕は電信柱だから、希望を感じられないんだ。
甘く笑ったキミの表情にほんの少しの未来を描く。
世界中で臆病者達は僕を見てさらに臆病者だと言うのかも知れない。
手を伸ばそうとして、やっぱり伸ばせなかった。
この夜空に浮かんだ月も、ぐるぐると同じ場所でおもちゃみたいに回る地球も、僕と同じ。

(僕には口があるのに手がないんだ)

「シンジくん?」
「ねぇカヲルくん」
「なんだい?」
「僕に、触ってよ」
「いいよ」

白魚みたいな手が、僕の頬に触れる。
腫れ物を触るように、優しく、しっとりと。
キミに触れてもらえるだけでも太陽のような気持ちになるのに、僕はキミに触れられない。
綺麗すぎて、キミの姿は蝶のよう。
優しく僕に触れたかと思ったら、どこかへヒラヒラいってしまうんだ!
簡単な言葉を並べて想いを伝えるのは楽なのに、未来が見えないよ!

「シンジくん、どうして悲しそうな顔をするんだい?」

僕に釣られてカヲルくんの顔がくしゃりと歪む。
だってきみは、



死んでしまうじゃないか!



それもこれも、僕のせいなんだけど
嘘、どうしようもない世界のせい
キミがいないと僕も死んでしまうよ!






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