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海よりも深い眠りについて17


急に街が停電になった。
テレビもブゥン、と虫が飛んだような音を鳴らして消え、涼しい風をこちらにおくり続けてきたエアコンもシュゥンと悲しげな音を出しながらストップした。
室内のあちこちでバツン、カチン、と電気の切れる音がする。
何事かと思い外を見ると信号機もろもろ止まっているものだから驚きだ。

「…ちょっと何よこれ」
「…わからない」
「わからないじゃないわよ」
「……そんなこと言われたって…」

こんなときでもどうして喧嘩が出来るのか、シンジとアスカはお互いに不機嫌そうな言葉をぶつけるばかりだ。
それもこれもいきなり停電になったのがいけない訳なのだが。

「…あれ?今何時?」
「もうすぐお昼過ぎかな」
「…やっば、今日午後からシンクロテストじゃない」
「うえっ、忘れてた…」





…どうしてこんな暑い中徒歩で歩かなければならないのだろう。
簡単だ、電気が止まってしまって交通手段がないのだ。
電車は勿論のこと車は信号機が止まっているため、あちこちで渋滞が起きている。
自転車使えばいいじゃない!とアスカは言ったがそのわずか数秒後に自転車なんて便利なものはミサトの家にないことを知った。
ミサトには車があるのだ、考えてみればまあ自転車なんて使わないだろう。
ただ運動しないと後で泣きを見るぞ、とはあえて言わない。

「あ、バカヲル」
「……と綾波?」

向かいの道路に二人が歩いているのを発見、恐らくネルフに行くのであろう。
それにしても何故あんな涼しそうな顔をして歩いていられるのだろうか、二人ともこういうところが少し人間離れしてる気がする。

「おーい、カヲル君、綾波ーっ」
「シンジくん…?」

近寄って二人を改めて見るとなぜか汗ひとつかいてなくて、つくづく不思議な二人だ。

「ネルフに行くんだよね…?」
「そうよ」
「ねぇ、せっかくだから一緒に行かない?」
「そうだね、旅をするときは人が多い方がいいし」
「旅って…」

人数が増え、相変わらずとぼとぼと道路を歩く。
じりじりと照る日射しが暑いし、汗は気持ち悪い。(しかし例のごとくカヲルとレイは汗なんてかいていない、発汗作用が悪いのだろうか)
いくら歩いても見えるのは道路、ビル、作動していない信号機。
ネルフが果てしなく遠く感じた。
今までいかに電車等に頼っていたかがわかる。
そして改めてそれらが有り難いと実感、日頃から楽してたのだ。

「…まだ着かないの?」
「そうだね」
「帰りたい」
「今まで歩いて来た道を戻るの?」
「うっ……」

どちらにしよ道が長いことに変わりはない、どうして日本は一年中夏なんだろうか。
アスカが溜め息を溢すとシンジが何かを発見したようで、あっと声を上げた。

「あれって…何かな?」
「どれよ…」
「あれだよ、あの黒いの…」
「……あれって…」
「……使徒?」
「うっそぉ!?なぁんでこんな時に来るのよもう!」


運が悪いというかなんというか、四人は急いでネルフへ向かうのだった。





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ようやく中盤?(笑)


あきゅろす。
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