アスカが誕生日の話
朝から妙に機嫌が良いアスカは鼻歌を口ずさみながら学校の廊下をスキップで歩いていた。
周囲からしたらビックリどころじゃない。
何か悪い事の前触れだろうか、と疑う程の浮かれようだった。
「なんや…明日は雪でも降るんやないか?」
「きっと使徒が出てくるよ、何か蜘蛛みたいな使徒」
なんて周りで言われても気にしていない様子。
ある意味アスカの機嫌が良くて良かったと言うべきか。
機嫌が悪い時にこんな事いったら打撲だけじゃ済まない気がする。
アスカが標的を発見したようで、その笑顔に喜びがさらに上乗せされてそりゃあもう幸せそうな顔になっている。
「バカヲルッ!」
「っと、」
標的…渚カヲルにいきなり飛び付くアスカ。
カヲルは後ろからいきなり抱きつかれてよろめくが、なんとか体制を戻す。
「セカンド、危ないよ」
「んふふ、今日何の日だと思う?」
「今日…?12月4日…?」
うーん、と眉を寄せて考えるカヲル。
仕草がわざとらしいのは気のせいだろう。
「テレビの日?」
「何適当な事言ってんのよ馬鹿ッ!」
ぽかぽかとカヲルを叩くアスカ。
何だか微笑ましい光景だ。
周りではまた痴話喧嘩が始まったよ、なんて茶化す声も。
「痛いよ…」
「本当にわかんないわけ?!」
「わかってるよ」
「え…?」
「セカンドの誕生日だろう?」
にこやかな笑顔でアスカを見つめるカヲル。
どんな女子でもイチコロスマイル、には流石のアスカもどぎまぎして赤くなってしまう。
「あんた最初から知っててわざとやってたわねっ…!」
「セカンドを驚かせようと思って…はい、プレゼント」
カヲルはポケットから小さな箱を出しアスカに差し出す。
可愛くラッピングされた小さな箱だ。
アスカは恥ずかしそうにそれを受け取ると、上目遣いで呟いた。
「…馬鹿ッ」
「あいつらまたやってる」
「ほっとけやもう」
「カヲル君…」
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