シンカヲバレンタイン
今日は年に一度のバレンタインデー。
女子がチョコを好意のある男子に渡す日だ。
そんな特別な日だ、男子が黙っているわけがない。
男子は自分がいつ女子からチョコを貰えるかそわそわしていた。
そして、とある三人の男子達も妙にそわそわしていた。
「委員長わいにチョコくれへんかな…」
「せめて一個ぐらいは…!」
「カヲル君チョコくれるかな…」
クラスで有名な3馬鹿トリオだ。
一人おかしな発言をしている者もいるが、皆チョコを求めていた。
チョコを貰う、という事が男子にとってのパラメータUPに繋がるのだろう。
そこに、多分最もチョコを貰っているであろう人物が現れた。
「やあ、三人共元気がないようだけどどうかしたのかい?」
「カヲル君…!」
「「渚…」」
即座にトウジとケンスケは目をそむけた。
両手に大量のチョコを抱えていたからである。
自分達はひとつも貰っていないのに…!
「沢山あるね…」
「うん…しまうとこが無くて困っているんだ。」
苦笑いするカヲル。
周りの男子がかなり恨めしそうな目で見ている。
…他の男子からしたら実に贅沢な悩みである。
しかし、その中には何故か男子からのチョコも入っているから不思議だ。
そのチョコを見てシンジは…
「ねえカヲル君、何か忘れてない?」
「え…?何だい?」
「今日だよ今日」
シンジが今日どうしても欲しかった物、それはアスカやレイからのチョコでもなんでもないカヲルからのチョコだった。
大好きなカヲルからのチョコがどうしても欲しいのだ。
「誰かの誕生日か何かかい?」
「違うよ!今日はバレンタインデーだよ!」
「バレンタインデー…?」
目をパチパチしていかにも始めてそんな単語聞きました、な顔をしてカヲルは首を傾げた。
「まさか渚…知らんで貰っとったんか!?」
「何の事だい?」
「チョコだよ!」
「カヲル君、今日は好きな人にチョコを渡す日なんだよ…?」
「え、そうなのかい?」
本当に知らなかったようだ。
知らなかったんならしょうがない…とシンジは一人頭を下げた。
「どうかしたのかい?」
「え?ううん…カヲル君、知らなかったんだもんね…ははは…」
「シンジ君…?」
周りのハッピーなムードの中、一人むんむんとした暗いオーラを出すシンジ。
勿論誰も哀れな彼のブロークンハートには触れていない。
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