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短編
2

「ちょっと聞いてるの!?この平凡!!」

「はぁ…」

「生徒会の皆様に近づいてタダで済むと思ってんの!?」

目の前にいるのになんて声の大きさなんだろうか。
キャンキャン喚かないでほしい。

…早く帰りたい。
今日は彼から生地から作ったピッツァをオネダリされたのだ。
作っていなければ後が恐いんだ。

他のことを考えていたのががわかったのか、子犬達は表情の変えない義人に怒りで顔を醜く歪めた。

「ムカつく…っ!」

「もう許さないんだから!!」

「っ!?」

ぼんやりしていた義人は小型犬の1人から見事にビンタを喰らった。
義人がかけていた眼鏡が放物線を描いて飛んでいく。

「もういい!!こいつをやっちゃ、て…。…え?」

リーダー格らしい子犬は後ろに控えていた大型犬にそう言いながら義人を見て固まった。
その子犬だけでなく、その場にいた義人以外が固まらざる負えなかった。

そこには今まで感じたことのない凄まじい色気を湛えた義人がいた。
学園随一のフェロモンマスターの理事長を遥かに凌ぐ、いや理事長がただのおっさんに成り下がってしまうほどの色気である。

義人は固まった周りを見回して一言言った。

「もう帰っていい?」

瞬間、その場の全員が顔を真っ赤にして腰を砕かれて倒れた。
その中には気絶しているものもいる。
辛うじて意識を保っていたリーダー格の子犬が首が千切れるんじゃないかというほど縦に降ったのを見て、義人は眼鏡を拾い、颯爽とその場を後にした。


竹中義人、数少ない素顔を知る友人にフェロモンクイーンと呼ばれ、色気で人を殺すと言われているその人である。



(オマケ)

「ただいま」

「お帰り、ピッツァ出来てるよ」

「おぉ、ありがとう。ってお前!!その顔どうしたんだよ!?」

「あぁ、親衛隊にやられた」

「俺の義人の可愛らしいほっぺが腫れてるじゃねぇか!!」

「まぁ、これだけで済んだんだから儲けもんでしょ」

「なんでお前はそんな冷静なんだよ!?」

「いやいや、会長テンパり過ぎだから」

「元だ、元!はぁ…ほんとに大丈夫なんだな」

「うん、ビンタされて眼鏡ぶっ飛んだだけだから」

「はぁ!?おまっ素顔見られたのか!?」

「あぁ、うん」

「うんってお前っ…。はぁ、心配かけさせんな」

「あはは」

「笑い事じゃねぇよ!そうでなくてもアイツと同室だから気が気じゃねぇのに!」

「でも守ってくれるんでしょ?」

「〜っ!!恋人なんだから当たり前だろぉが!!」

「ふふ。大好きですよ、海斗」

「…イタダキマス」

「え…っあ、ちょっ、まって!ぁ、あぁ〜っ!!」




【後書き】
平凡と見せかけて人類史上最強のフェロモンの持ち主。
でも何故か眼鏡をかけるとただの微美形になる。
彼氏は元会長。


という感じで、私の趣味丸出しですいません(笑)
どうしても書きたくなって書いちゃいました。
元会長は主人公が入学した時から目をつけてました。
んで、周りが主人公を忘れた頃に巧みに攻めて、半年かけてじっくり落としていきました。
主人公のフェロモンに唯一屈しなかった方。
主人公好きすぎて、将来は海外で結婚して、養子を迎えようと計画中。
主人公の両親にも挨拶済みの策士です。
倦怠期知らずのラブラブバカッポー。


続く…かも(笑)

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