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復活でお題
異常なまでに正常(へなちょことヒットマン)
※アルコバレーノはラル・ミルチと同じく成長してます






鐔を引き、更に目元を隠して口角を笑みの形に上げる元家庭教師を見遣り、ディーノは心から憐れみのため息を吐き出した。この家庭教師は昔から容赦なかったが、それは今でも変わらないようだ。逆に新たな教え子の素質が高い所為で、埋もれたままの才能を開花させようと更に鬼となったらしい。弟弟子が泣きになった愚痴を先日電話越しに零していたのだから、相当なのだろう。自分に愚痴を零す前に、自分の守護者に相談なりするだろうから、余程心配しているんだろうなと、自分も可愛がっている友人の娘を思って痛む蟀谷を押さえた。

「あのな、リボーン。あいつは女の子なんだぞ?」
「んな事分かってる」
「ツナや俺みたいに森に置き去りしたり、縄で縛って谷底に落としたり、銃を突き付けて全力フルマラソンとかしたりしてないよな」
「…………」
「ちょっ、女の子なんだからな!!」
「ちょっと小突けば愚痴ばっか垂れる馬鹿弟子と違って愚痴一つ零さねぇでこなすんでな。こっちも苛じめ我意がな――優秀な弟子で嬉しいぞ」
「今取って付けただろ、それ!!」
「煩せぇぞ、へなちょこ。ちっとはボスらしく見える様になったからって、生意気言うんじゃねぇ」

ちっと忌々そうに小さく舌打ちを零し、視線を横に流すリボーン。ツナが泣きながらどうにかしてくれと縋り付く気持ちが分かった。今も尚、頭が上がらない家庭教師にツナが丸め込まれるのは想像に固くないが、ならあの娘溺愛のザンザスはこの家庭教師をどう見ているのか。下手したら嫁に行けない体(傷とかそっち)になるじゃないか。

「ザンザスにこの俺様が何時も負けるとでも?」

どうやら一悶着あった様だ。しかも毎回の様で。鼻で嘲る様に嗤うリボーンの背に、般若の仮面が見えた気がした。つか思考読むなよ。
聞くところによれば、シャーリィの師匠にはベルと骸を充てがっていると聞いた事がある。なんつーある意味危ない奴らを、と考えたが、リボーンよりかはマシだと云えるだろう。なんやかんだでシャーリィの事を気に入っている二人が命懸けの訓練を施す訳がないし、また上司が煩く厄介な為、しない。だがリボーンは別だ。リボーンは綱吉の家庭教師であり、アルコバレーノに選ばれた最強の暗殺者なのだ。綱吉の命令にも(ツナの命に支障がなければ)首を縦に振らないし、ザンザスの脅しにも屈しない。シャーリィを立派なボンゴレレディにさせる為なら、邪魔者は徹底的に排除。いや、それボンゴレレディにする為じゃなく、顕らかに最強の暗殺者にする為だろと云う正論且つ的確な突っ込みも耳には入らない(寧ろ黙らす)目指す目標に一直線。

「今度会う時を楽しみにしていろ。次代の最強のヒットマンを拝ませてやる」
「いや、だから女の子で次期ヴァリアーボスだからな!シャーリィは!!」

シャーリィの将来が心配になったのは云うでもなかった。

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