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復活でお題
嫌がらせじゃない。愛してるの!(憤怒)



「……はぁ、」

沈痛な面持ちでため息を吐き出し、ザンザスは隣に座る愛しい愛娘の頭を撫でた。ヴァリアーのボスとしての仕事が一段落付き(大半をスクアーロに押しつけた)、久方に取れた娘――シャーリィとの休まる一時。例え今居る場所がヴァリアーの屋敷内に存在する自分の執務室だとしても、庭からスクアーロの煩い声が室内に響いたとしても、むさ苦しいレヴィが時折メイドの仕事を奪って飲み物を運んできたとしても(即憤怒)、この時間はそれを上回る至福感を与えてくれる。
色は自分似だが、質感は母親と同じ柔らかい猫毛の頭部を、髪を梳かす様に撫でる。すると気持ち良さそうに目を細め、まるで猫の様に擦り寄って甘えてくる愛しい子。それに目尻を下げ口角を緩めると、シャーリィが幼き日の出来事がふと、脳裏に甦った。

――そういえば、アレから全くしてねぇな。

今回無理矢理取り付けた、愛しいシャーリィとの時間。だがそれも後、小一時間。自分はボンゴレが誇る独立暗殺部隊のボスなのだ。下らない物から面白そうな物、仕事なら山とある。それは何時尽きるとも知らない仕事で、これでも綱吉が自分とシャーリィとの親子の時間を作れる様にと、極力重要な物以外は回してこない。それでも恨みの多いボンゴレの汚い仕事は多く、以前にこうして共に過ごした日は遥かに昔。寂しくない様にとスクアーロ等の幹部が相手をしたり、ボンゴレの守護者を呼んだり、わざわざ向こうに遊びに行かせたりしたが、やはり子供心に寂しいのだと云うのは分かる。分かるからこそ、心苦しい。自分は父親失格だ。
胸を締め付ける罪悪感に、昔の様にシャーリィを抱き締めてキスを贈り、腕に抱いて庭やあいつの墓に行ってやりたいと、共に過ごした僅かな記憶が霞め、ザンザスはその記憶内で楽しそうに笑っていたシャーリィが喜ぶ事を実行してやろうと、行動に移す事にした。



「シャーリィ、肩車してやる」

「…………はい?」

間抜けにもこちらを見上げて聞き返すシャーリィは可愛い(親馬鹿)
自分に似た深紅の瞳を瞬かせ、じっと見つめてくるシャーリィに再度同じ台詞を云えば、首が飛んでいきそうな程に勢い良く振り、いいよ!と照れた可愛い拒否(気の所為)

「昔はよくやってただろ。久しぶりにやってやる」

「いや、いいから!僕ももういい歳だし重いし父さん御歳だし!?」

「まだ十四だろ重くねぇし俺はまだ若けぇ」

「確かに父さんは四十過ぎに見えない若々しさはあるけどさぁ――っ!?ちょ、本当、僕キツイって!」

脇の下に両手を差し込み、抱き上げようとしたら後退り逃げる――ので、未だ現役の(以外と根に持ってる)脚力と腕力で慌てるシャーリィの背後に回ると、一瞬にして移動した驚きで動きを止めたシャーリィの腰を掴み、天井に投げる様にして持ち上げ、肩に落とした。










「あれ、何かの罰ゲーム?」

任務から帰宅したマーモンは、庭をゆっくりと歩く我らがボス・ザンザスと、その肩に肩車させられて恥ずかしそうに耳まで真っ赤に染めたシャーリィが、羞恥で顔を両手で隠して俯いている姿に、庭の隅にて同じく唖然としているスクアーロに問い掛ければ、「知るか」と役に立たない答えが。つかボス、凄く嬉しそう

「……あれ?レヴィは?この光景、一番嬉しがりそうな奴がいないじゃないか」

「あ゛ー、いまさっき任務で追い出された」

「ふーん、そっか。……ねぇ、スクアーロ」

表情は普段と余り代わりはないが、身に纏う雰囲気は全く違うザンザスと照れているシャーリィを眺め、

「レヴィ……いや、綱吉にこの光景の写真を見せたら、どのくらい出すかな?」

「……逆にザンザスに対抗して、背負って海とか行きそうだ」

「うん、もの凄く爽やかに笑顔振りまきながらね。その後を憤怒の形相で追い掛けるボスと獄寺の姿も思い浮かぶね」

一歩間違ったら、また前の般若事件だ(鬼のザンザス対菩薩の綱吉)
あれは本気で命と云うかボンゴレそのものが危険だった為、原因と元凶はヴァリアー幹部、守護者が隠蔽秘匿にしているが、良いも悪いもシャーリィに起因しているのは誰が見ても顕らか。

「取り敢えずスクアーロ、もうボスの休息時間は終わったんじゃない?早く戻る様に行ってきてよ」

「はぁ!?なんで俺なんだよ!」

「だってボク、殴られたくないもん」

「それは俺だって同じだぁ!!」

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