☆special☆ 2013.3.15 ホワイトデー 2013 white day? 「飴くれ、コノヤロー」 日付が変わった直後、突然現れた万事屋の第一声がコレだった。 3月14日、ホワイトデー。 別名 バレンタインデーのお返しをする日。 が、しかし。時は既に3月15日午前0時。 てか、おかしくね? 「テメェにはチョコやったろうが。なんで飴まで貰う気満々なんだ」 「お前が堂々と貰いに来いつったんだろうがァ!!」 「ンな事言った覚えはねぇよ」 「言いました!バレンタインデーの時確かに言いました!『お前のことだから、もっと堂々と“チョコくれコノヤロー”って言ってくるかと思ってた』イコール(堂々と貰いに来い)って言ってました!」 「なんで“来ると思ってた”が“堂々と貰いに来い”になってんだよ」 勝手に“イコール”つけるな。意味変わってんじゃねぇか。 つーか、チョコ貰ったんだから飴まで貰うとかおかしいだろ。 そりゃ、俺も手作りのを貰ったけどよ。 「てことは、テメェも飴持ってきたんだろうな」 「……なんで?」 「いやいやいや、おかしいだろ!お互いチョコ渡したんだから、飴だって用意しとくべきじゃねぇか」 「それなら土方は用意してんだろ?お前の理論で言うと」 「……いや?」 「おかしい!」 「チョコはお互い渡して、その分、飴はお互い無し。トントンだろ」 「トントンじゃねぇ!!お前、俺は糖分王だぞ!俺がこの日をどれだけ楽しみにしてたと思ってんだァァァァァ!!」 大声で叫んだかと思うと、万事屋がジタバタと暴れだした。 ったくコイツは。 素直じゃないっつーか、なんつーか。 本心を言っちまってるの気付いてねぇのか? 「そんなに俺に会いたかったのか」 「あァ!?」 「指折り数えて楽しみにしてたんだろ?飴を理由に堂々と会いに来られるもんな?」 「バ……っ、違ぇ」 否定しつつも頬を染め、そっぽを向いて大人しくなる。 コイツは色恋沙汰になると、途端に嘘が下手になる。 付き合うようになって真っ先に気付いたことだ。 俺だけの特権。 万事屋本人にも、教えてやるつもりはねぇ。 火照る手を取って引き寄せると、簡単に崩れ落ちてくる体。 そのまま抱きしめて、寄せる。 近くなった顔をくいっとこちら側へ向ければ、バツの悪そうな表情で口を尖らせながら、 「な、なにすんだよ……」 軽く俯いたまま上目遣いで睨まれた。 そんな目で睨んでも怖くもなんともねぇ。 むしろ、逆、だ。 その誘い、喜んで乗ってやるけどな。 「極上の甘い飴、お互い持ってんだろ」 ちろりと舌を出す。 いらねぇ、なんて答えながらもう、とろんと目を伏せてやがる。 ンとにわかり易過ぎだろ。 ちゅ、っとリップ音を立て軽くキスして一度遠ざけ、薄く口を開き舌の挿入を待ちわびている唇にお望みどおりのモノを与えてやると、甘い唾液が混ざり合い、熱い舌が…… 「痛ッ!」 ガブリと噛み付かれた。 「へふぇへ、はひひははふ!(テメェ、何しやがる!)」 「わり、俺、飴は齧る方だから」 と、突然のツン〜ッ!? ツンデレじゃなくて、デレツンかよ! なにその逆転の発想。 そんなリバいらねぇから! 痛みでもがいている隙に、すくりと立ち上がった万事屋はそのまま障子の向こうへ出て行ってしまう。 「よろ、……待っ」 後ろ手に障子を閉める背中を追いかけようと立ち上がり一歩前へ踏み出したところで、 「治ったら……」 「?」 ピタリと足を止めた。 「飴、届けに来い」 「よ、ろ……や…?」 「飴と一緒になら、今度は、味わって……やる」 パタン。 今度こそ、静かに障子が閉まった。 「お、お…い!待っ、!!」 踏み留めていた足を縺れさせながらも必死で動かし、万事屋の後を追う。 開いた障子と軋む廊下の音で、今度は万事屋がピタリと足を止めた。 もう、舌が痛いとか言ってる場合じゃねぇ。 これだけは、今、言葉にしなければ! 「万事屋ァ!!」 「……な、んだよ」 「それは……」 「……」 「舌じゃなくて、ち○こじゃダメか!それなら今す、ぐはぁっ!!」 「この変態マヨ!死にさらせぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」 「ぶへぇ、ぐほっ、うがっ、げっほ、ぐおぉぉっ――……」 強烈な蹴りと顔面パンチに視界が歪み、 やがて意識が霞んで…… 完全に、 ブラックアウト―― 3月14日は、ホワイトデー。 3月15日は、 ブラックデー……。 [END] -------- すみません、一日遅れのホワイトデー更新です_| ̄|○ しかも久々の更新が、激短文_| ̄|○ この短さに丸二日とか、どんだけ遅筆_| ̄|○ 文章って一週間書かないと、こんなに書けなくなるものなのね……。 リハビリ感満載ですが、少しでも楽しんでいただけたら嬉しいです。 い、一応、バレンタインデーのお話と繋がってます。 ご一読、ありがとうございました。゚(゚´Д`゚)゚。 2013.3.15 エル [*前へ][次へ#] [戻る] |