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☆special☆
2014.10.10 銀誕
銀誕カウントダウン Twitter140字文はこちらのDiaryにて※Twitter文をご覧いただかなくても、連動企画SS↓はお楽しみいただけます!

以下、カウントダウン終了後の連動企画SSです
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[2014.10.10]銀時birthday


ぎしっ、
「ん、ぁ…ッ」

いつからだったか。
土方とこんな関係になったのは。

ぎしっぎしっ
打ち付けられる熱と軋むスプリングの波に揺られながら、心はどこか上の空。
それでもカラダは正直に快楽を受け入れ土方の動きに連動して甘い声を吐き出し続けた。

「…ッ、ぅ」
それはどちらの呻き声か。
互いに欲をぶちまけて、肩で息をしながら余韻に浸る。
ぽたり、ぽたり、顎を伝って土方の汗が滴り落ち俺の頬を濡らした。

それもやがて流れ落ち枕に吸い込まれていく。
見えないシミを残して。

そして俺はそのまま瞳を閉じ続け、気だるさと共に眠るのだ。
目を覚ました時にはもう、コイツはいないから。

男の欲望は、熱を吐き出すと同時に急激に冷めていく。
背を向け一服してシャワーを浴び服を着て金を置いて部屋を出る。
それだけだ。
同性だから、よく、わかる。

でも眠っちまえば…見なくて済むだろ?

その、冷めた現実を―――。



「あーだりぃ…」
「ちょ、銀さん大丈夫ですか?」
「これが大丈夫に見えますか、新八君。本体の度、合ってないんじゃね?買い替えた方がいいんじゃね?」
「いや、ちょっと意味わかんないんですけど」

神楽がもらってきたプールのただ券。
屋内施設とは言え季節はずれの水遊びはオッサンの体には酷だったようで。
体内で風邪ウイルスが大フィーバー中だ。

「新八〜薬〜」
「あ…カラです銀さん」

「神楽〜卵酒〜」
「銀ちゃんごめんヨ、卵全部飲んでしまったネ」

ちょっと買ってきますね、そう言って二人と一頭は万事屋を出て行った。
急に物音の消えた部屋は室温さえ下がったようでぶるりと体が震えた。
布団に包まって目を瞑る。

次、目を開いたときはきっとアイツ等ごと喧騒が戻ってきているだろう。
ここは万事屋、俺の、家。
…あの宿とは、違うから…。


カラン。僅かな音に目を覚ますと氷水で濡らした手ぬぐいを絞る手が見えた。
(新八…?)熱で霞む視界の向こうにあった手は少年のものではなく、もっと大人の、男の…。
「水遊びで風邪ひくとかガキかテメェは」

土…方…?
な、んで…。

意識のはっきりしない頭で考えても答えなど出てこない。
ああ、夢か。
風邪で気弱になった心が見せた幻だ。
そうじゃなきゃ…説明が…つか、な…!

視界が薄暗くなったかと思うと至近距離に土方の顔があった。
それは別の理由を、現実という答えを俺に教えてくれたのだった。

そうか。そうだ。
こいつがいる理由、至極当然の理由。

あぁ、こんな時でもおっ始める気なんだな。いつも、そうだ。こいつは気まぐれにやってきて俺を抱いて去っていく。
いいぜ、好きにしろよ。弱った俺を好きに抱けばいい。全身の力を抜いて目を瞑る。
今日はこのまま意識ごと飛ばしちまおう。

―――そう、思った。

コツン。

え?
刹那、おデコに衝撃。

な、なんだ?
冷たい感触と同時に感じる温もり。
「熱、下がらねぇな」
至近距離から放たれた意外な一言に心臓が跳ねた。

かぁっ。
一瞬で顔が火照ったのがわかる。
カラダ目的じゃない?
心配してくれた?

土方が、俺を。

どうしよう、どうしよう。
あぁ俺変だ。
「オイ、顔真っ赤だぞ!」
慌てて手ぬぐいを額に乗せ「薬、薬どこだ」と慌てるヤツの姿がおかしい。
顔全体を手ぬぐいで隠しクスッと笑おうとしたらコホンと咳がでた。この熱しばらく、治りそうにねぇ。

…テメェのせいだぞ、土方。



土方と酒を酌み交わすのは楽しかった。
言いたいこと言い合って喧嘩して。
マヨネーズがどうたら、糖分がどうたら。ガキみてぇに。
でも所詮はおっさん同士、酔えばいつも同じ話題で喧嘩した。

いつからか土方の誘いを待ちわびるようになった。
だがあいつは仕事人間で、約束のドタキャンも多かった。

「悪ぃ、万事屋」
「はぁ?っざけんなよ!鳴喚くこの腹の虫、どうしてくれる!」

「悪ぃ、万事屋今日も…」
「しゃーねぇ、キャンセル料300万で」

「…悪ぃ」
「あーはいはい。きっちり働け税金泥棒」

「…万事…」
「はい!キャンセル入りましたー。またなー」

悪態は次第に物分りのいい返事へと変わっていく。
ドタキャンに慣れてきただけだと思っていた。

でも違う。
これは、防御。

期待は、しない。はじめから。
深入りしない為、傷つかない為の自衛手段。
俺はもうずっと昔から、自分の心に蓋をして自分さえ誤魔化して生きてきた。
息を吸うように簡単な、こと。

それでも人肌恋しいなんてまともな感覚が呼び覚まされる時もある。
肌を重ねりゃ情が移る。
感情の蓋が緩くなる。

だから、何の間違いか土方と行為をするようになってからも、決して着物を脱がなかった。
簡単にドタキャンされちまう関係の行き過ぎた戯れだってわかっていたから。
チクリチクリと心は傷んでいたはずなのに、それを快楽の一部だと誤魔化してたんだ。
体は繋がっていても越えさせぬ一ミリの心の壁。遠い遠い心の距離。

でも、そろそろ限界かも知んねぇ。
箍が外れる前にこの関係終わらせねぇと。
そう思っていた矢先の見舞いだった。

けれど。


相変わらず多忙な土方が、その後万事屋へ看病に来ることはなかった。
電話の一本さえも。
ありゃ幻聴、いやまるっと幻覚だったかな?
…そんくらいの現実が俺にゃ丁度いい。

やっぱりもう、終わりにしよう。



けど、会いたくねぇ時ほど運命は悪戯をしかけてきやがる。
角を曲がりゃ黒い集団。
猫を追いかけた先に黒い集団。
そして、月明かりの下にも。

くん。風に流されてきた煙草の香り。案の定そこには黒いアイツがいた。
道端で月を見上げながらの一服が様になっていてムカつく、が、目が離せない―――。

(コツン)
あの日の衝撃が蘇る。
思わず額を押さえた。

火照る。
否が応にもカラダは記憶と連動して熱を帯びる。
アイツはまだ俺の存在に気づいていない、今ならまだ引き返せる。
踵を返しその場から去った。
白い姿を闇に溶かすのが得意で助かった。
戦場で学んだことに初めて感謝した。


「ふあぁぁぁあああだりぃぃぃ」
いつもの椅子に腰掛け大きく背伸びをする。
欠伸した回数などとうに両手を超えた頃、
「銀さん鬱陶しいです」
「仕事探してくるヨロシ!」
二人の助手に家を追い出された。俺んちなのに。俺社長なのに。

銀さんだって好きで貧乏してるわけでも、引きこもってるわけでもありませんよ。
あーぁ畜生。たまにはスカーッと行きてえなぁ…。


ジャラジャラジャラ〜
キュイィィンン
ピッコンピコピコ〜
ジャラジャラジャラ〜

という訳でやって来ました久々のパ☆チンコ!!
こんなところにあのクソ真面目な男は来ねぇだろ。
銀さんあったまイイ〜!
勝てば金も入るし一石二鳥ってね。
いやぁ家でクサクサしてねぇでさっさとココくりゃよかったぜ。

るんるんと足取り軽く通路を歩くと、丁度新台が1つ空いていた。
迷わず腰掛け愛しいハンドルに手を伸ばした矢先、視界の端に黒い影が…。
げっ。マジ、かよ。

煙草を燻らせながら真っ直ぐ通路を歩いてくる黒い物体。
まるで花道を歩くが如く、迷いなく。
間違いねぇ、ターゲット俺だ。

瞬時に腰を浮かせ反対側へ向かってダッシュ…するも虚しく、狭い通路と人ごみに阻まれ、俺あっさり捕獲されるの巻。

ったくワラワラ平日の昼間っからパチ屋なんかに大勢集まりやがって、働けクズ共!
つーかテメェも警察官のくせに制服で堂々サボりですかァ?コノヤロー!
みなさーんコイツ税金泥棒ですよー!

騒いだ俺に、周りの視線は冷たかった。

クイッ。
軽く手錠が引っ張られ土方を睨むと、そこ見てみろというジェスチャー。

【警察官立寄所】

ガックシ。
あぁ、そうでした。
パチ屋はそういうトコでした。

何で馴染みのパチ屋に来ちまったかなァ俺。無意味な反省をしながら空を見上げた。
走馬灯のように浮かんでは消え消えては浮かぶ後悔の数。

パチ屋を出ると嫌味のように広がる秋の空。
あー………眩しい。


「やっぱおめぇ税金泥棒じゃん」
「………」
「つーかこれ不当逮捕だろ?俺何も悪いことしてねぇし。それとも何?SMプレイでもやろうっての?俺Sなんだけど」

使い慣れた宿屋いつもの部屋。互の手を手錠で繋いだままベッドの上で向かい合う。
この状況をなんとかギャグ的方向へ持っていきたい俺の軽口に土方は全く乗ってこない。
一人でベラベラ喋って馬鹿みたいじゃねぇか。
おいコラ、いい加減テメェも何か話しやがれ!空気重てぇっつの!
いつもみたいにマヨマヨマヨマヨ言いやがれマヨ〜!
ニコチン切れたマヨ〜。煙草吸わせろマヨ〜。
そうだトッシー、お前ちょっと出てこい。
いっそトモエ5000だかシズカ5マ○コだかを熱く語ってこの場を空気を変えろ!いや変えてくれ頼むから!
300円あげるから!

…頼むよ、なぁマジで。
だってコイツさっきから俺の方真っ直ぐ見つめたまま微動だにしねぇんだよ。

嫌な予感しか、しねぇんだよ。

俺ァもう、期待して裏切られんのも、手に入れて失うのも…ごめんなんだよ。
だから、どうか、心の奥で俺が欲している言葉だけは…言ってくれるな。

「万事屋、俺ァ」
「鬼の副長」
「…は?」
「俺ァ白夜叉。そういうこった」

自然と口から出た流れるようなセリフ。
土方を拒む言葉。

身に付いちまってるんだな、すっかり。
防御する癖、嘘をつく癖。
自虐的に笑みが溢れて片眉が歪んだ。

土方、お前は真選組を捨てられない。
だからさっさと俺を捨ててゴリラの元へ帰れ。
そして全ては元通り。…な…。
「う、ぁっ」
ぎしっとスプリングが軋み上半身がバランスを崩した。
右腕にくい込む鉄の輪。
痛ぇ、そう文句を言おうと息を吸えば土方の匂いが肺いっぱいに流れ込んできた。

ぐらっ。
揺れる…心が…。
「…離せッ」
「逃げたきゃ本気で押しのけろ」
「…ッ」
本当の思い。誤魔化し切れなくなる自分の心。
押しのけられるわけがねぇ、逃げられるわけがねぇ。

だって…。
だって、俺ァ…テメェが――。


好きだ。

その言葉は厚い制服の布に運良く吸い込まれた。
お陰で少しだけ冷静さを取り戻し、ひゅっと短く息を吸う。

何かを期待したのか、土方が俺の肩を押し顔を覗き込んでくる。
その視線を真っ直ぐに見つめ返し、強く唇を噛んだ。
本音が漏れてしまわないように。

けれど。
奴は警察で。
尋問なんてお手の物だった。

血の滲む俺の唇に一瞬視線を向けてから、コイツは柔らかく笑ったのだ。
嘘や悪態なら滑らかに言葉を吐き出す唇を、必死に噛み締めている事が何よりの答えだと。
再び抱きしめられた腕の中で髪を撫でられ、俺は全ての抵抗を止めた。



「ん、ッ…はぁ…」
カラダを這う土方の無骨な手。
熱い掌が着物の中に滑り込み、壁を溶かしていく。
しゅるりと帯をほどかれ肌蹴けていく着物。
あっという間に剥かれて互いに生まれたままの姿できつく抱きしめあった。

一分の隙間もないほど、強く強く。

その心地よい温もりの中で瞼の裏に浮かんだのは、幼き頃の記憶。
田舎の小さな祭だったけれど、屋台から腹を擽る匂いが辺りに充満していて。
けれどそれを買うお金なんか持っている筈もなく、俺はいつも遠くからその別世界を恨めしそうに覗いているだけだった。
『何を食べましょう』
え?
この、声。
小さな手を掴んでいたのは。…松陽、先生…。
『我慢しなくていいんですよ。銀時』

欲しなさい、心のままに。
手にしなさい、恐れずに。

いいのかな先生。
「土方…俺…」
また掴んでも。
「ん?」
また望んでも。
「俺…欲しい」
「万事屋…俺も、テメェのこ―――」

「苺のショートケーキ」


「…は?」
「だから、ケーキだってば」
「はぁぁぁぁぁぁ!?テメェこの期に及んで何…ッ」
「今日俺の誕生日。だからケーキ」
「え?は?ああ!?そいつぁ目出度ぇな。いや、そ、そういう事じゃ…」
「だから全力で俺を気持ちよ〜くさせて、その後カロリーと糖分の補充を兼ねてケーキ」

「…そりゃ恋人の特権と思っていいんだろうな」
…ちゅっ。
答えの代わりにキスを一つ。

「土方」
二つ。
「あぁ?」
「俺、素っ裸でSEXすんの初めてだ」
三つ。
「え」
「童貞卒業から今まで一度も。それを今日、生まれたこの日にテメェにやるよ」
四つ。
「今日だけじゃねぇ、これから先もずっとだ」
「贅沢なヤツぅ」
五つ。
「所謂等価交換的なアレだろ」
「等価?何と?」
六つ。
「苺のショートケーキ」
「安ッ、俺安ッ」
七つ。

―――毎日でも食わせてやる。
一生食いっぱぐれねぇんだ、悪い話じゃねぇだろ?―――

そんな睦言の合間に何度も何度も重ねた唇は、甘くて甘くて。
今年の誕生日はケーキ無しでも良いかななんて…ちょっと乙女かねぇ俺。

でもま、いっか。

…八つ。…九つ。………。



「十…時か。銀さん遅いなぁ…折角無理矢理追い出してサプライズパーティ用意したのに」
「どうせどっかで乳繰り合ってるネ」
「えーあの銀さんがぁ?それはないでしょ。相手いないし」
「マヨラネ」
「は?え、ちょっと神楽ちゃん何言って…え、え、どういう事!?」
「新八、オマエ何にも見えてないアルな。本体の度あってないアル。買い替えるヨロシ」
「…あれ、なんかデジャブ…」




End♪

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Diaryにて10/1から銀誕カウントダウンを開始し、10/10の誕生日にUPする予定だった文です…
更新が10/13になった上に…サイトへの本UPが1/14とか…すいません。
読み返してみるとイロイロ…アレ、ですが。そのままUPします><

あと3ヶ月弱でアニメ銀魂復活ですね!春が待ち遠しくてたまりません!銀ちゃん、大好き!
2014.10.13 たくみ@L (あとがき↑は1/14に書きました)



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