☆special☆ 第93訓 天然パーマの悪い奴(2015バレンタイン) 第93訓「天然パーマの悪い奴」 「ひ、土方さん!大変なんです!!」 ―――早く万事屋に来てください! 見廻りの途中寄ったコンビニの自動ドアを出たところで響いた着信音(コール)。ディスプレイに表示されたのは『万事屋』 の文字。珍いこともあるもんだと緩む唇を掌で覆い“通話ボタン”を押した。けれどそれは愛しいアイツの声ではなく、愛しいアイツの大事なメガネからのヘルプコールだった。 「万事屋の前で下ろしてくれ」 部下に指示してからリダイヤルを押す。プルルル・・・プルルル・・・プルルル・・・。詳しく状況を聞く間もなく切れてしまったことが引っかかり折り返してみたものの繋がらない。 「パトランプ出して走れ!早く!」 言い終わるより早く後部座席から身を乗り出しパトランプの起動スイッチを押した。 ―――嫌な予感がする。 なんだろう、このいつもと違う胸騒ぎは。 早く、早く、早く早く早く! 通い慣れた万事屋への道のりが、異次元にでも迷い込んじまったんじゃないかと錯覚するくらい遠く感じる。 ガッシャーン! キキーッ! 万事屋の玄関扉が破壊されるのとパトカーの到着はほぼ同時。ブレーキ音が止む前に車内を飛び出した俺は、体勢を整えながら鍔を押し上げいつでも抜刀できる状態で万事屋の階段を掛け上がる。バリバリとガラスの破片を踏むのも構わず万事屋へと踏み込み素早く視線を動かした。内部も酷い荒れようであったが、とりあえずメガネとチャイナ娘そしてデカイ犬の生存確認が取れたことに「ふっ」っと小さく息をつく。 だが、肝心のアイツがいない。神経を集中させつつヤツの気配を探ると・・・いる・・・。姿は見えなくとも確かに感じる・・・これは・・・殺気! たたたたたたたっ!軽い足音。しかし、早い。まるで獣のような・・・。 「お、落ち着いて!大丈夫、大丈夫だから」 「こっちに来るネ!るーるるるるるー」 「わんっ」 ザッ 犬の鳴き声に驚いたのか、その獣(のようなもの)が床を蹴り高く跳ねた。右手に真剣を持って。狙いは一番戦闘力の低そうなメガネ。しかもメガネは丸腰だ。 「うわぁぁぁっ」 「駄目アルッ!」 背丈とさほど変わらぬ日本刀を振り上げメガネに飛びかからんとしているのは、驚いたことに獣どころか天人でさえない人間のガキだった。獣に見えたのはその身のこなし故の錯覚であろう。が、今はそんなことどうでもいい。膝を沈め腰を捻って抜刀、と同時にガキの刀を下から跳ね上げ刃を反して胴目掛け垂直に愛刀を振った。 「うわぁぁぁっ」 「駄目アル!」 先ほどと同じ悲鳴をあげながら両手で頭を覆いしゃがみ込むメガネと、同じ叫びをあげながら俺とガキの間に割って入ろうとしたチャイナ娘。だが時既に遅しで、『うぐッ』といううめき声と共に獣のようなガキは床へと落下し・・・動かなくなった。 「はぁッ、はぁッ、だ、大丈夫かお前―――ぶべら!」 メガネに手を貸し起き上がらせながらチャイナ娘へも声をかけると、強烈な右ストレートが顔面に炸裂して我が身が吹っ飛んだ。 「な、何しやがる!」俺ァてめぇらに呼ばれて助けに来てやったんだぞ!そう言葉を続けようと睨みつければ、既に万事屋の子供等の視線は俺には向いておらず、先ほど倒したガキに注がれていた。そして、 「大丈夫アルか!死んじゃ嫌アル!!」 「しっかりしてください!!」 「「銀さん(ちゃん)!!」」 ・・・は?ぎん・・・さん・・・? 二人に介抱されているガキの事を、今間違いなく『銀さん』と呼んだ。 見れば確かに髪色はアイツと同じで・・・それ以外の箇所も似ていると言えば似ている・・・でも雰囲気があまりにも違いすぎるだろ。小さいことを抜きにしても、だ。 一体どういう事だ? 「銀ちゃん死んじゃったアルか?死んじゃったアルか?マヨラお前なにするネ!」 「ちょ・・・ッ」」 チャイナ娘にどつかれそのまま掴み掛かられ思わず怒鳴り返そうとするも、大粒の涙を流す彼女を前に全ての言葉が息と一緒に飲み込まれる。 「神楽ちゃん、銀さん無事みたいだよ!」 「ほんとアルか!」 「・・・峰打ちしたんだよ。人間のガキなんぞいきなり斬り殺せるか」 壁にぶつけた頭を掌で撫でながら万事屋のガキの間に割って入り、気絶させたガキの傍でしゃがみこんだ。 「こいつ・・・万事屋・・・なのか?」 坂田銀時か?という意味で問うと、 「マヨラの目は節穴アルか」 ジトッと冷たい視線が返ってきた。 そうは言われても・・・未だ半信半疑な俺にメガネが1枚の紙を差し出し、読んでくださいと手渡した。 「坂本さ・・・あの、銀さんの知り合いに銀さん以上のもじゃもじゃがいまして・・・」 どうやら差出人は坂本と言うらしい。『きんときへ』としょっぱなから間違っている胡散臭い文章を目で追っていくと、なるほどこのガキが間違いなく坂田銀時であるということはすぐに理解できた。 『きんときへ 今日はバレンタインデーなるイベントがあると陸奥から聞いた。どうせおんしは誰からも貰えず拗ねていると思う。そこで、だ。わしが一肌脱いじゃるき。これはヨーキヒ星から取り寄せた貴重なもんじゃ。存分に楽しんでくれ!アハハハハハハハハ(笑)<カッコワライ>!』 ・・・なんだこのバカ丸出しの手紙は・・・。 「で、万事屋がこうなったのはコイツから送られてきたモンのせいだと?」 「そうなんです」 これ、と小さな箱を手渡されが、中身はカラだった。 「食いもんだったのか?」 「いえ、銀さんも坂本さんからの贈り物が怪しさ満載だというのはわかっていたので、食べ物だったら口にしなかった思います。入っていたのは煙でした」 「煙?」 「はい。警戒しながら開けたんですが、煙では避けようもなくて・・・」 煙を浴びた万事屋は、少しずつ若返っていったのだという。 最初におかしいと思ったのは、目の前にいたコイツ等の事を「誰だ?」と言った辺りから。 そしてここが何処かもわからなくなり、どんどん混乱していったと。だが、理性は失うことなく、ただただ狼狽していただけで、単に若返りと同時に記憶も逆行している、が、そのうち一定の年齢で止まるだろう、所詮ちょっと驚かすだけの悪戯程度のものだろうと子供等は思っていたのだという。 しかし、若返りは止まらず幼少期の姿まで進んでいき・・・そしてこの姿で止まったと思った途端、万事屋の目つきが変わり自分たちに怯えたかと思うと暴れだしたのだそうだ。子供等の静止も聞かず暴れまわっているうちに押し入れの奥にあった真剣を見つけ手がつけられなくなった。 俺に電話をかけてきたのはまさにそのタイミング。 相手が万事屋では、夜兎のガキも本気で相手をするわけにもいかない、だが、ガキの万事屋は本気で斬りかかってくる。自分たちではどうしようもなくなって俺に助けを求めたと。 因みに電話線はぶっつりと刀で斬られていた。道理で電話が繋がらないはずだ。 「マヨラ、どうしたら・・・いいネ・・・」 先ほどとは一転、縋るような目を向けるチャイナ娘の頭をぽんぽんとあやし、俺は懐から手錠を取り出した。 「土方さん!?」 「逮捕するアルか!?止めてよマヨラ!」 「落ち着け。とりあえずまた暴れだしたら厄介だろ。これはコイツを守るためでもある」 そう言い聞かせ、万事屋の小さな手首にカチャリと手錠をかけた。そして、ヨイショとそのまま担ぎ上げる。意識を取り戻す前にこの状況を打破せねばならない。 優しく、だが、反論は許さないと毅然とした声で俺は二人に指示を出した。 とにかく、万事屋を元に戻す方法を見つけてくれ、と。 「送り主は万事屋の、古い、知り合いだな?」 少し躊躇して頷く二人を見て確信を得る。 ならば。 「古い、知り合い、なら、もう一人知っているだろ?力になってもらえ。一刻も早くコイツを元に戻すために」 あえて名前は伏せたが、聡い二人はすぐに思い当たる人物を頭に浮かべたようだ。俺には頼ることの出来ないあの爆弾魔を。 「土方さんは・・・銀さんはどうするんですか・・・?」 「俺はコイツを屯所に連れて行く。いざとなったら閉じ込める場所もあるしな」 「銀ちゃんに酷いことしないでヨ、マヨラ」 ぽんぽん。 もう一度チャイナ娘の頭をあやし、 「いざとなったらの話だ。安心しろ」 そう伝え予備で持っていた携帯をメガネに渡してから万事屋を後にした。 小さな万事屋が目を覚ましたのは、運良く屯所の自室に着いた直後。 すぐに俺から距離を取ろうとするも、拘束された両手ではバランスを取れなかったのかドスンと尻餅をつく。大丈夫かと声をかけ近づくと、足を動かして尚距離を取ろうとした。 何故、こんなに怯えている? 全ての人を敵とみなすようなきつい眼差しが刺さって心が痛む。記憶も逆行しているということは、万事屋にこういう時代があったという事だ。 一体、どんな幼少期を過ごしていたのだろう。 フーッ、フーッと荒く息をする万事屋に一定の距離を保ったまま視線を合わせるようしゃがみ、できる限り優しい声色で話しかけた。 「安心しろ、俺は敵じゃない」 と。 だが、 「俺の、刀、どこだ。お前のでもいい、よこせ!」 「どうしてそんなに刀が欲しいんだ?」 「いいから、よこせよ!早く!」 「そいつはできねぇな」 「なんでだ!」 「テメェは刀の使い方を知らねぇからだ」 「はっ、わけわかんね!それは守るためのもんだろ!」 ―――守る?誰を? その問に、幼い万事屋は迷いなくこう言い放った。 ―――俺! と。 ひやり。 心の奥底に冷てぇモンが流れ落ちスッと眼光が鋭くなったのが、自分でもわかる。 コイツが“万事屋”だぁ?巫山戯んじゃねぇ。 “万事屋”ってなァな、バカみてぇに周りの奴ら必死で救って守ってそいつの大事なモン一緒にかき集めるバカで、バカだからテメェを守るなんてこたァ知らねぇ稀代のバカ侍なんだよ。 けどそこに、そのバカに―――“みんな”、惚れてんだ。 いいぜ、知らねぇなら教えてやる。テメェが知らねぇ本当のテメェを。 「オイ、クソガキ。ついて来い」 「・・・」 「コイツの本当の使い方、教えてやるっつってんだよ」 クイッと顎を振り障子を開ける。逃げる素振りがないことを確認し廊下へと踏み出せば、大人しくついてくる気配がした。但し、いつでも食ってやるというような獣の雰囲気を纏ったまま。万(よろず)を背負ってねぇ本能剥き出しのまま。 ダンッ! ガツンッ! 道場の床を振動させ飛び上がった獣は、勢いそのまま木刀を振り下ろしてくる。正面から受け止めると木刀同士がぶつかる激しい音と同時にジィンと利き手が震えた。力任せに振り切れば目の前に飛んできたのは蹴り。一旦飛び退いて木刀を下げる。その隙を見逃さずしてまっすぐに突きを繰り出してくる。カラダをひねりギリギリのところで避けてから胴目掛け垂直に木刀を振った。が、それは空を斬ったけに留まった。動きを先読みした獣は木刀の動きに合わせるように後ろに飛びのき既に体勢を整え次の攻撃に移らんと利き足を踏み出している。 チィッ、末恐ろしいガキだ。 誰から学んだでもなく本能だけで木刀をブン回しながら、必要とあれば手だろうが足だろうが全てを駆使して向かってきやがる。それは追い詰められた獣がなりふり構わず全力で反撃してくる―――リミッタの外れた状態―――にほかならない。しかし頭は冷静なのか、それともまたそれさえもコイツが生まれながらに備えている本能の一部なのか、二度同じ攻撃は通用しないのだ。事実、垂直に刀を振って胴を打つというのは、先ほど『万事屋』で俺がコイツをブッ倒したものだったが、いとも簡単に避けられた。 認めたくはねぇが、 “四つ腰デパートの自動ドア”に手を挟む前の俺なら負けていたかも知れねぇ。・・・ほんとうに末恐ろしいガキ・・・一体どんな幼少期を過ごせばこんなめちゃくちゃな強さを手に入れられるのか・・・そうしなければ生き残れない時代をたった一人で生きていた・・・という事なのだろうか。ここから、俺の知る“万事屋”になるまで一体どんな人生を歩んできたのだろうか。 今更ながらに気づく。俺はコイツの事をなにも知らないのだと・・・惚れた相手の魂の奥底を知らないのだ、俺は!! ダンッ! ガツンッ! 再び床を蹴り上げた獣。同じように俺も床を蹴り上げ二人の勢いがぶつかる。鈍い音を立てて。一足先に床へと戻った足で踏ん張り力任せに獣をなぎ払う。体勢を整える間を与えず息つく暇もない剣撃を繰り出し、防戦一方の獣を道場の隅へと追い詰めていった。ドンッと壁に背を付いた獣は射殺す様な視線を向けてくる。留めの一撃。大きく木刀を振り上げまっすぐに振り下ろした。・・・ニヤッ。獣が笑う。頭をかばうように木刀を横倒しするのと同時に足払いを仕掛けて来たのだ。・・・ニヤッ。次に笑ったのは俺の方。派手な打ち込みはフェイク。ンなこと“万事屋”なら瞬時に見抜いたであろう。本気のやりとりこそ少ねぇが、奴とは何度もやり合ったし、互の戦い方をよく知っているのだから。 そうだ、俺は知っている! 本気の、白い獣の戦い方を。 だが、この獣は知らねぇ。 鬼の副長の、戦い方を。 ダンッ!! 足払いを仕掛けてきた獣の脚を踏んづけ動きを止める。同時に柄(つか)から左手を離し奴の木刀を握って力任せに壁へと押し付け、振り上げた右腕を後方に引き、無防備な獣の首目掛け木刀を―――突き刺した。 「・・・」 「・・・」 両者、無言。 木刀は首横を通り壁に突き刺さっている。 獣の目は見開き、現状を理解するには至っていない様子だった。 だがそれは僅かな間の事。一度目を瞑り、再び開いた瞳でキツく俺を睨んできた。そして、 「殺せよ」 そう、言った。 「・・・なに?」 「殺せばいい。お前の勝ちだ。負けたら死ぬ、戦争ってそういうものだろ」 そうか。コイツはこんなガキの頃から攘夷戦争の真っ只中、死と隣り合わせで生きてきたんだな。 でも。 「これは戦争じゃねぇ。さっき言ったろ、教えてやるってな。こいつァ稽古だ」 「・・・ケイコ?」 「あぁ、稽古だ。だからテメェが死ぬ必要はねぇし、俺がテメェを殺す理由もねぇ」 「・・・ふぅーん」 「くくっ、悔しそうだな」 「はァ?何言ってんだお前」 「そういう面ァしてやがんだよ、テメェが。負けて死を覚悟した時とは違うモン、心ン中にあんだろ」 「・・・次、は負けねぇ」 「そいつが悔しいって感情だ」 「ふんっ。つか、足痛ぇぞオッサン」 「おぅ、悪ィ。・・・ん?オ・・・サ、ン?」 ち、違いねぇ・・・。今のコイツから見りゃ俺は立派なオッサンだ。今更ながらに気づき愕然とした。畜生、いつもはテメェがオッサンな癖に。 「ぷっ」 「?」 「お前も悔しいって顔してら!あっはははははは」 「はァ?ンな顔してねぇよ」 「してるって!」 「してねぇ!」 「してる!」 「してねぇ!」 「してる!!」 「してねぇ!!」 「してる!!!」 「して・・・」 「「ぷっ・・・」」 “いつも”みてぇなくだらねぇ言い合いをしながら二人揃って吹き出した。あぁ、コイツは確かに坂田銀時だ。 腹抱えて笑うコイツは“万事屋”とは違っていたが、子供らしい無邪気な笑顔は俺を安心させた。 殺伐とした世界で一人孤独と戦いながらそれでも大事な魂(モン)をコイツは失っていない。 ここから先、どんな出会いがあってどんな人生を歩み“万事屋”となっていったのかはわからねぇが、どんな最中(さなか)でも大事な魂(モン)失わずに歩いて行った先に今の“万事屋”があるのだろう。 願わくば、一つでも多く幸あらんことを。 時代という時計が逆戻りしたわけではなく今更祈ったところで何の役にも立たないのは分かっていても、そう願わずにはいられなかった。 「おい、もう一回ケイコしろ」 「なんだ、また負けたくなったのか?」 「次は勝つって言ったろ」 「やれるもんなら―――お、そうだ」 「?」 ごそごそと懐を漁る。 そういやさっきここにアレを・・・。 メガネからの緊急事態を知らされる前、見廻り途中で寄ったコンビニで俺には似合わぬモノを一つ、買っていたのを思い出した。それは小さなチョコレート。バレンタインデーなんてモンに踊らされる気は更々ないが、万事屋は期待しているかも知れないと、もしかしたらチョコ一つで何かイイコトあるんじゃねぇかと下心満載で購入していたのだ。・・・オッサンて汚ねぇな。密かに反省しながら小さな掌に乗せると、不思議そうな視線を返してきた。 「食ってみろ」 「・・・」 「この期に及んで毒とか疑ってんじゃねぇ。ちゃんとテメェの好きなモンだよ」 「・・・」 眉根を歪ませながら包みをあけ、チラッと視線を向けつつ(どこまで疑り深いんだ!)意を決したように(だからいつまで疑ってだよ!)ポイッと口中へ放り込む。・・・そして、目をパチパチさせてから、 「うんめぇ!!」 驚きと喜びが入り混じった顔で瞳を輝かせた。 「甘ぇ、うめぇっ・・・!」 「だろ?」 「うん!お前さ、いいやつだな!」 「だろ?」 「ん・・・あのさ、俺、お前嫌じゃないかも」 「え?」 「この甘いやつと同じくらい好きかも!」 にぱっ、無邪気に笑う。その笑顔と言葉は、チョコ一つじゃ余りあるくれぇ俺にとってはイイコトで。深い意味など無いとわかってはいても、頬が緩むのを抑えきれなかった。 「そうだなぁ・・・刀はやれねぇけど、テメェが一本とっ・・・勝ったら、ソイツ、もっと沢山買ってやるよ」 「ほんとか」 「俺ァ、嘘はつかねぇよ」 「負けねぇからな」 「おぅ、本気でかかってこい」 ダンッ! 床を蹴る。 ガンッ!! 木刀がぶつかり合う。 さきほどまでの可愛いガキの雰囲気は既になく、闘争本能剥き出しで向かってくる。心なしか力もスピードもあがったように感じた。成長目覚しいなんてモンじゃねぇ、まったく末恐ろしい奴だよテメェは。 だがガキに沢山チョコ食わせるわけにはいかねぇし、負けるわけには・・・いくめぇよ!! 「きんとき、楽しんでおるかのォ・・・オボロロロロ」 「・・・今度は何を送りつけたんじゃ貴様は」 「オボロロロロ・・・若返りの薬ぜよ」 「またそんなトラブルになりそうなものを」 「大丈夫じゃ。今日はバレンタインデーなる地球のイベントじゃき、すぐ元に戻れる。あん見えて、きんときはモテモテやき!あっはははははは!うっ、オボロロロロ」 ぷりっきゅあ♪ぷりっきゅあ♪ 『あ、もしもし土方さんですか?銀さんを元に戻す方法がわかりました!―――です!僕たち今から買って向かいますから!』 ・・・遅っせーよ・・・。 ―――土方くぅん、チョコ、沢山買ってくれるって言ったよねぇ?ん?嘘はつかねぇんだろ?ゴチになりまーす! 2015.2.14 ハッピーバレンタイン。 END ---- 辰馬の似非土佐弁については・・・許してチョンマゲ♪←(古) エル [次へ#] [戻る] |