[携帯モード] [URL送信]

Other
薄桜鬼[不完全な僕ら] 土沖、原平前提の沖平?
 




「へーすけ君、あーそーぼー。」
 

久しぶりの非番だというのに、土方さんは巡察だし
一君達は大阪だしで、暇を持て余していた僕は
ふらふらと屯所内を散歩していた。

何気なく覗いた平助君の部屋に、珍しく本人がいて刀の手入れをしていたので
暇つぶしに丁度いいからと声をかけた。

暑いからか腕まくりをして手入れをしている。(隊服ぬげばいいのに)
まだまだ成長途中の平助君の腕は、剣客としては随分細身。
あれじゃ、左之さん可愛くて仕方ないんじゃないかな。
・・・ちょっとした悪戯心が顔を出した。

「あ、総司じゃん。今日非番だっけ?」
「うん、そうだよ。平助君は夜の巡察組?」
「そうなんだよ〜。どうせ行くなら昼間の方が楽しいんだけどさ。店とかもあいてるし。」
「それ、サボる気満々じゃない。僕は夜の方が好きだよ。斬る機会も多いしね。」
「物騒だなぁ〜総司は。」

平助君は凄いなぁ。人を斬っても、他人に言えないような黒い仕事をしても
昔と何も変わらない。出会った頃と同じ笑顔が作れるなんて。

僕なんか、半分くらい壊れちゃってるのにね。
うん、その辺は自分で自覚してるし、そんな自分は結構好き。

平助君が壊れちゃうことってないのかな。

例えば、仲間だと思ってるヤツに裏切られたり、酷いことされちゃったりしても
明日から又君は変わらぬ笑顔でい続けられる?

部屋へと踏み込んで、後ろ手に障子を閉める。
少しだけ光が遮られた空間をおかしく思ったのか、平助君が僕を見上げた。

 

 

障子が閉まる音と、遮られた光が不思議になって視線を向けると
さっきより近い位置に、総司が立ってた。
瞳に怪しく揺れる炎を纏わせて。

殺気、とも違う不思議な“気”で体を撫でられ、ぞわりと肌が粟立った。

―――ヤバイ。

本能が危険を察知して、手に持っていた刀を咄嗟に突きつけた。
でも、総司は、刃なんか恐れる男じゃない。
獲物を狙う目を益々細めて、素手で刀に触れてくる。
切っ先から峰の部分に手を這わせ、少しずつ間合いをつめてきて
俺はその手から視線を外すことも、体制を変えることもできず
ただ呼吸が触れ合うほどの距離になるまで、体を強張らせていた。

「平助君も、壊れちゃえばいいよ・・・。」

そう呟かれて視線を総司へと移した瞬間
温かいモノが唇に触れた。
えっ、と驚いたときにはもうぬるりと舌が進入してきて逃げる間もなく絡めとられる。
どうしてこんなことをされているのか、さっぱりわからなくて
混乱して真っ白になった。

右手から刀を奪われた。
左手から打粉を奪われた。

カチャリと音を立てて畳の上に転がる愛刀。
僅かな衣擦れの音を立てて倒れる俺のカラダ。

段々と深くなっていく口付けで
くちゅりくちゅりと唾液が交わる。

左之さんとは違う、口づけ・・・。

 

―――左之、さん―――

そうだ、左之さん。俺の恋人は左之さんだ。
左之さん以外に、こんなことされてちゃ駄目じゃん!!

「お、い・・・総司っ!」
「んー・・・黙って。」
「いぁっ・・・」

絡めとられていた舌を強めに噛まれ、小さな悲鳴が出た。
噛まれた舌を今度は唇ではむはむと甘く刺激され
脳がジリジリと痺れを感じる。

脳裏に浮かぶ左之さんの顔と
口腔内で感じる、左之さん以外の口付け。
双方が一致しない感覚に、益々混乱していく頭。

力の入らない腕で総司の胸板を突っ張る。
広く開いた着物の隙間から、掌に直に伝わる総司の肌。

眩暈を起こしそう・・・

でも、駄目だ。
駄目だ、これ以上は。

僅かに残った理性を総動員して、総司の股間に膝蹴りをくらわせた。

「いっ!!」
「んはぁっ、、、はぁっ、、、はぁっ。」

流石の総司も急所を蹴られてはひとたまりもなかったのか
後ろへ飛びのいて、しりもちをついた。
その隙に俺もずるずると後ろへ下がり間合いを取る。

「ひ、酷いじゃない、こんなところ蹴るなんて・・・ッ」
「お、お前が・・・は、はぁ、悪いん、だ、ろ!」
「ふぅん?でも、気持ち、よかったでしょ?」
「・・・。なんで、こんなこと、した、んだよ。壊れちゃえばいいって、なんだよ!」
「あー・・・聞こえてたんだ。」

薄く笑った口元と、一瞬見せた僅かに翳る瞳。

 

人を斬って、斬って、斬って
少しずつ壊れていく心。

汚ぇことも、ずるいことも、己の信念に背く事も
全ては新選組の為にと、歩むことを止められない。

それは俺だって同じだ、総司。
お前だけが壊れて行ってるなんて、思うな。

俺はただ
笑うことが、上手くなっただけなんだよ。

「総司。」
「・・・なに。」
「壊れ方なんて人それぞれじゃねーの。」
「・・・。」
「でもさ、どんなに壊れても、大事な人、裏切るのはよくねーし・・・。」
「別に、大人なんだから、割り切ったカラダの関係くらいいいじゃない・・・。」

俺、まだまだ大人じゃねーよ。
総司だって、そうじゃんか。

だって―――。

「なにが大人の割り切った関係だよ。あんな口付けしといてお前、股間ふにゃふにゃじゃん。」
「!」

さっき膝で蹴り上げたときの感覚、あれは臨戦態勢の状態とはとてもいえない柔らかさだった。
その気もねーのに、襲ってきやがって総司のアホ。

いつもひょうひょうとしている総司の、珍しくもそんな失態をみてしまった俺は
なんだか無性に可笑しくなって、声を出して笑った。
総司のヤツ、なんか、顔赤いし。

なるほど?
土方さんは、総司のこういうところが可愛くて仕方ないんだろうな〜。
そう思うと益々笑いが込み上げた。

こんなふうに総司より優位にたった気分になるのって初めてかもしんない。
あはは。気分いい。

なんてニヤニヤしてたら、総司が突然指を差してきた。
さっきまで伐の悪そうに赤らめていた顔は、もうそこにはなくて
いつもみたいに口角をあげニヤリと余裕の笑みを湛えている。

差した指の方向が少しずつ下がってきて
「平助は、勃ってるけど?」
と、指摘された。

うわぁぁぁ!!
慌てて両手で股間を隠す。

「だ、だから!俺はまだ大人じゃなくて、若っけーの!若っけーから仕方ねーの!!」
「ふぅ〜ん?」

ったくこいつは!マジでむかつく!!自分があんなことしてきたくせに!!

 

土方さんに言いつけてやっかんな!!

と反撃したら

左之さんに言っちゃうよ?

と返された。

俺が襲われた方なのに、俺は不可抗力なのに
罪は半々、みたいのって、おかしいだろ。

なぁ、これ、絶対ぇおかしーだろ!!

 

END
----------
ちょっと久々に薄桜鬼書いてみたくなった。
久々すぎて口調忘れた〜。しかも途中、意外と平助が大人(笑)
お互い、お仕置き篇とかあったら、萌えるかもwww

2012.9.23 エル

 

[次へ#]
[戻る]


あきゅろす。
無料HPエムペ!