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SILVER SOUL
小ネタ(3)※R15




「アッ、ぅん…」

止めて。

弱々しい拒否は肯定とみなされ、土方の無骨な指が体内へと侵入をはじめる。

唾液で湿らされただけの指は皺にひっかかり、うごめく指がカーテンをめくるようにじわじわと穴を開いて鈍い痛みが喉を鳴らさせた。

「気持ちよさそうだな」

バカ言ってんじゃねぇ。
毒つきたいのに言葉にできない。

滲む涙は痛みと悔しさと…悲しみ。


夏風邪を引いていた俺に

熱で潤んだ瞳に

コイツが勝手に欲情して、寒ィとカラダを震わせると、寝巻のズボンと下着だけ太股の辺りまでずり下げられた。

風呂に入っていない汗くさいカラダを開かれる屈辱と、体調不良を考慮してもらえない虚しさ。

紅潮した頬は快楽のせいじゃないのに。

悔しくて悔しくて下唇を強く噛む。

「声、抑えるな。聞かせろよテメェの淫らな声」

「うぅ…んぅ、ッ」

唇の隙間から漏れたのは嗚咽だった。

「たまんねぇなァ…」

ゴクリ。
土方の喉がなり、そのまま距離を縮めてくる。

唇と唇の間にはもう、薄い空気の層しか残っちゃいねぇ。

相変わらず止まねぇ指の責めに呑まれぬよう意識を保って顔ごと横を向いた。

「ぅグ…ッ」
「こっち向け」

熱を帯びた頬を手で包むと強制的に見つめ合わされ唇が重なる。

こんな時でさえ、
風邪うつっちまう、なんて、奴を気遣う自分が嫌になる。

全身から力を抜いて、指も舌も受け入れた。
土方の総てを受け入れて行く為に。

怠いカラダの力ない腕を土方の首に絡ませ、悲しみに歪む表情を隠して。

愛なんてない行為だとわかってる。

金を置いて帰っちまう事も。

それでもこの温もりを手放したくないほど、俺は土方に落ちてんだ。

テメェは俺のこと、快楽主義者くれぇにしか思っていなくても、金でカラダを開く穢た男だと勘違いされていても、それを糾すなんて真似、怖くてできねぇ臆病者なんだよ俺ァ…。

ちゅっ…

不意に口づけが止んだ。

離れて行く顔が、次第にハッキリ見える位置になる。

「テメェ…」
あ…。
集中してねぇのバレたかな。
ヤバイと思う前に、首に巻いた腕に可能な限り力を入れて引き寄せようとするも、ぴくりとも動かず困惑した。

そして俺は更に困惑する事になる。

土方が悲しそうな瞳をしていたから。

土方が自ら顔を寄せてギュッと抱きしめられたから。

「土方…?」
「なんで我慢すんだよ」
「え…?」
「辛いなら、嫌なら、そう言ってくれ…っ」

何。
突然、何を…?

意味がわからねぇ。

「辛いんだよ、もう…テメェを金で買ってるフリすんのはっ」
「土方?」
「俺はホントのテメェが…テメェの心が欲しい。だから、嫌な時は本気で抵抗して罵って欲しいんだ、よ…」

ハァァー…っ

熱いため息が首に纏わり付く。

それは心地好く、肌から吸収され、体内へ、魂へ溶けて行った。


ウィルスが駆逐されてく。

風邪だけじゃねぇ。心に暗く巣くっていたモンまで次々と。

「いいの、かよ。こんな俺で…」
「そいつはこっちの台詞だ…銀時…」


初めて呼ばれた名前。

溶けた心が涙腺を崩壊させた。

「ずっと…ずっと好きだった…土方…金なんかいらねぇって…突っぱねたかった…」
「あぁ…」
「意識飛ばして朝目覚めて…一番最新にテメェの寝顔見たかった…」
「あぁ…。…っ」
「おはよーさん、って言いたかった…」
「…あぁ…」
「名前、呼んで欲しかった…」
「…っ。銀、時…」
「うん」
「銀時…っ」
「うんっ…」

「銀時…!」
「ひじ、か、たぁ…」

強く強く抱きしめ合う。
けれど俺に体重かけねぇよう、気遣ってくれてんのがわかる。


それは言葉以上に、俺の心を温めた。


「なぁ銀時」
「ん?」
「…続きして、いいか?」


「ハァ!?バカかテメェ!!銀さん風邪で寝込んでんだぞ。殺す気か!」
「…腹上死…」
「…〜っ、テメェが死ねェ!!」

物騒な言葉を並べ立てる俺達の顔は、きっと、気色悪ィくらい綻んでる。


けど。
いいよな。

くすぐってぇくらい、幸せなんだから。


End♪

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ガチで自分が風邪ひいて寝込んでいた時に書きました(*´∀`*)テヘ
日記にあげたときは一応「ウィルス・ミス」ってタイトルだったのですが、まぁさして拘りがあったわけでもなく…こちらにUPさせていただきましたw

2013.8.18 たくみ@L


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