[通常モード] [URL送信]

SILVER SOUL
第21訓 似てる二人はすれ違う 7




ピシャリ
振り向きもせず、万事屋を後にした。
カツ、カツと階段を下りる途中、
またアイツの泣き声が聞こえた・・・気がした―――

 

 

ったく、今日は散々な一日だったな。
いやまぁ、最初はよかったんだけどよ
総悟との一件から先、おかしな方向に進んじまって
伝えるつもりのなかった告白なんてしちまうし
おもっくそ拒否られたしな。

できることなら、朝からやり直してぇ。
いや?俺、元々は、告白するつもりだったんだっけ・・・
なんか益々無駄な一日だったってことだな・・・。

今日はもう、風呂入って寝ちまおう。

そう思い腰をあげたとき
甲高い叫び声が耳を貫いた。

「マヨラ!マヨラはいるアルか!!」
「あ、すみません、山崎さん。土方さんの自室はどこですか。」
「え?あれ?万事屋の・・・、副長の部屋ならそこです。」
「ありがとうございます!」

あいつ、部外者に軽く副長室なんて教えてんじゃねーよ。
仮にも警察内部だぞ。あとで、しばく!

「マヨラ!!!!!!」

部屋へと現れたのは、万事屋のところのチャイナとメガネだった。
チャイナは怒りをあらわにし
メガネは怒っているような、申し訳なさそうな複雑な顔をしている。

ったく、まだ何か起こるのかよ。
勘弁してくれ。

「なんだ、お前ら。用件によっては、不法侵入でしょっ引くぞ。」
「やれるもんならやってみるネ。その前に私の傘が火を噴くアル。」
「ちょ、神楽ちゃん落ち着いて。」

はぁ。なんだかわからねーが、話を聞くまで帰ってくれそうにねぇな。
仕方がないのでまた座りなおし、煙草に火をつけた。

「で、何の用だ。」
「・・・ドSに聞いたネ。」
「あー?総悟?」
「お前さっき銀ちゃんに会ったアルな。」
「あー・・・まぁな。」

総悟のヤツ、こいつらに何話したんだよ。
そもそも、万事屋と総悟の問題、じゃぁねぇのか。
俺を巻き込むな。

面倒臭さ全開の表情で二人を見ていたら、
突然チャイナが、大きな瞳に涙を浮かべ、ふるふると震えだした。

・・・勘弁してくれ。

「・・・銀ちゃん、泣いてたネ・・・。お前、何したアル・・・。」
「はぁ?知らねーよ。俺は何もしてねぇ。総悟に聞け。」
「ドSと銀ちゃんは仲直りしたって聞いたヨ。泣いてる理由はマヨラに聞けって、ドSが言ってたヨ・・・。」

なんでだよ。俺だって知らねーよ。

「銀ちゃん、心の奥底の事は私達には言わないネ。涙も一生懸命隠してた。でも、私には泣いてたってわかるネ。」
「土方さん、僕達が万事屋に帰った時、銀さんはいつもの銀さんでした。でも、目が腫れてて、
それなのにいつもの銀さん、なんて絶対におかしいです。何か知っているなら教えてください。」
「だから、何でその原因が俺なんだよ。」

「そりゃぁ、アンタが万事屋の旦那に愛の告白をしに行ったからでィ」
「そ、総悟!!!」

突然現れた総悟が、とんでもない爆弾を投下した。
ガキ等の前で何をぶっちゃけてくれてんだ、クソドS!!

「マヨラに告白されて、どうして銀ちゃんが泣いたアル?お前まさか、無理矢理―――」
「ふざけんな。んな事するかよ。」
「じゃぁどうしてですか、土方さん」
「しらねーよ!!!!!」

イライラもMAXになり、ガキ相手に思わず大声がでちまった。
俺らしくもねぇ。

「土方死ねコノヤロー、ちゃんと旦那に話を聞いたんですかィ?死ね。」
「一文に死ねを二度言うな。」
「茶化さないで死ねコノヤロー!」

ふぅ〜。
ガキってなんでこう面倒臭いかね。
まっすぐ過ぎるのも問題だな。

「ちゃんと聞いたよ。万事屋と総悟の問題だからって跳ね除けられたがな。」
「それで、おめおめと退散してきたんで?」
「退散っつーか、それ以外アイツが言わねーんだから仕方ないだろーが。」

あー・・・そういや、最初に泣いてた理由も、帰り際に聞こえた泣き声の理由も
確かに聞いてない・・・な。

あれ?俺、早まった?

視線を斜め上に向けて反芻してみる・・・。
そういやアイツ、俺が抱きしめたとき拒否しなかったな。

・・・なんでだ?

「銀ちゃんは、凄く強くて、でも、強すぎて脆いネ。いっぱいいっぱい背負うのに、どんなに重たくなっても
絶対に荷物は降ろさないネ。でもいつも自分の本当の気持ちは捨ててしまうヨ。」
「土方さん、お願いがあります。銀さんの本当の気持ちを聞きたい時は、どうか絶対に簡単に諦めないで下さい。
銀さんは口が上手いので、すぐ誤魔化しますけど、頭のいい貴方なら、誤魔化したり出来ないところまで
追い詰められると思うんです・・・僕達には出来ないけど。」

ハハ・・・流石に子供とは言えアイツの家族だな。
俺よりもアイツの事をよく知ってやがる。

「鬼の副長が聞いて呆れまさァ。アンタはどれだけ口の堅い容疑者も、拷問してでも口を割らせる男じゃないんですかィ?」

そして総悟は、なんだかんだと俺の事をよく知ってやがるんだなぁ・・・。

「銀ちゃんが泣いてる理由、知りたいネ・・・私で出来ることなら助けてあげたいネ・・・。」
「神楽ちゃん・・・。」
「でももし、その原因がマヨラなら、私はマヨラを許さないネ。」
「殺すときは手伝うぜ、チャイナ。」
「ちょ、ちょっと沖田さん、話が別の方向に!!」

仕方ねぇ、ガキ共にこれだけ言われちゃあな。
「・・・万事屋に行ってくる。」
「やっとその気になりましたかィ。またおめおめ退散して来たら、チャイナと殺してあげまさァ。」
「そうかよ。そうならねーように、気をつけるわ。」

煙草を灰皿にこすりつけ、よいしょと重い腰を上げる。
立ちはだかる3人の横を無言ですり抜けながら、肩を震わすチャイナに視線を送り
『行ってくる』という気持ちを込めて、ポンッと肩に触れた―――

「何するネ!ロリコン!!」

ら、
うおりゃぁぁぁ!と外へ投げ飛ばされた・・・。

何でだぁ!!

「私と新八はお前の部屋で待ってるアル。銀ちゃんと一緒に迎えにくるヨロシ!!」
そう言って、ピシャリと障子が閉められ、完全に部屋を追い出された。
俺の部屋、なのに。。。

だが、腹は立たなかった。
チャイナのやり方が、どうにもアイツに似ていて。
素直じゃない、そして手荒。
でもそれは、優しさの裏返し、なんだろ。

クスリと笑って、また煙草に火をつけて
俺は屯所から、万事屋へと足を向けた。
今度こそあいつの本心を聞きだすために―――

[8へ続く]

-------------
細切れUPですみません。
銀ちゃんは愛されてますよね。万事屋の子供達、本当に大好き。
総悟もなんだかんだと銀ちゃんには懐いてますから。

さぁ土方君、最終決戦(笑)だよ!ファイッ!!

2012.9.30 エル


[*前へ][次へ#]

7/10ページ

[戻る]


あきゅろす。
無料HPエムペ!