9000ヒットお礼(サスケ/連載番外)


休憩に人気の無い道の脇へ座ると雨が降ってきた。

「あ、雨だー…ってサスケ、どこ行くの」

あたしは木に背を預けて、サスケは雨に誘われるようにして道に出ていた。こちらに背を向けている彼の体がだんだんと強くなっていく雨にぬれていく。

香燐と水月、重吾はお腹がすいたとどこかへ行ってしまった。さっき街を抜けてきたところだからそこに行ったのかもしれない。

体を傾けてサスケの顔を見ようとする。彼は下を向いて、あたしからはちょうど髪に隠れて、表情が分からない。

「風邪引くよー?」

何の反応も示さない彼をじっと見て、あたしははっと気づき、泣いてるの、と訊いた。

からかうためでもなんでもなく、ただふとそう思ったのだった。でも言った後でそんなことはありえないと思った。あるはずが無い。

しかし、サスケはこちらに目をちらりと向けた。

「さあな」

その声はなんでもない風だったが、一瞬だけ合った目はひどく悲しそうにゆれていて、あたしの胸はぎゅうと締め付けられる。

きっと泣いてるんだ、とあたしは思った。

そう、泣いている。だが彼は涙を流さない。換わりに雨を浴びているのだ。少しでも、彼の中にある、余計な感情を流すために。

あたしは途方にくれた。こんなサスケは初めてだったのでどうすればいいか分からない。それとも何もしないほうがいいのだろうか。

ばたばたと派手な音を立てて雨が降りつづけている。風はまったくなくて、辺りは薄明るい。

どうすればいいか分からなかったが、こうする以外方法はなさそうなので、あたしはサスケの頭をなでた。

身長差があってあたしが頭をなでるのはおかしな感じだったが、彼はあたしを見て抱きついた。

あたしも片方の手で抱きしめて、よしよしと頭をなでる。雨に打たれつづけていた彼の体は少し冷たかった。

強く降る雨の中、彼は静かにあたしの名前をこぼし、少しだけまたあたしを強く抱きしめた。

しばらくそうして、寒くなってきたなと思った時、何やってるれんげ、と怒ったような声が聞こえて目の前に香燐が現れた。

「二人でこそこそと…!!」

「え、でも、そういうことなんだろ?」

「オレたちは邪魔しないほうが…」

水月と重吾がすぐ後から来て全く見当違いなことを言いつつ香燐を引きずってここから離れようとしている。

あたしはサスケから離れて、何言ってんの、と半ば怒った。

「サスケを慰めてただけだって。ね、サスケ」

「なんだそれ…ってサスケ、どこ行くの」

水月はちんぷんかんぷんな顔をして、突然歩き始めたサスケを追う。

重吾もそれについていったが香燐はあたしに向き直った。

「…」

「ほんとだって、香燐。やましい気持ちなんてこれっぽっちもない」

「…ならいいが」

まだ信じきっていないようにあたしを睨んでいたがやがてすっと背を向けて歩き出した。

(女ってめんどくさい生き物…)

あたしはすぐさま追いかけて、水月をどついた。

「うおっ!?なんだよれんげ!」

「お腹すいた!なんかおごれ!」

「はぁ!?サスケにおごってもらえばいいだろ!」

「えぇー?じゃあ重吾、お願い!」

「オレはいいが…」

「あ、そういえばサスケも何にも食べてなかったね?」

水月を押しつぶしつつ訊くと、サスケはこっちを見ずに、次の街に行くぞ、と言った。

「え…?っていうことはお昼なし!?」

「ボクたちと食べに行かないからだろ、自業自得だよ」

その言葉にむかついてあたしは水月に蹴りを入れたが水になってしまって意味が無かった。

「残りものならあるよ」

さらにもう一発水月に殴りかかろうとしたとき、重吾が横からすっと包みをだした。

「ウチも持ってきたぞ、れんげがお腹すかすと思って」

「え、うそ、ありがとー!」

香燐も差し出した包みをもらって開いてみると、それは雨でぐしゃぐしゃになっていた。

「……」

あたしが言葉を失うと水月は腹を抱え始め(たまにこらえたような笑い声が聞こえる)、重吾と香燐は唖然とした。

ちらとサスケを見ると、笑った顔と目が合った。

「サスケまで笑って…!」

あたしは手の中のものを水月に投げつけた。

いつのまにかあれだけ降っていた雨は止んで、すがすがしい青空になっていた。







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9000ヒット、ありがとうございました!
試験も終わったのでお待たせしていたお礼夢、さっそくかきました!

連載番外編とアンケートにコメントがあったのでこれにしましたが…普通に連載の中にあっても違和感ない感じになってますよねすいません;汗
違うところと言ったらサスケが鬱ってるところでしょうか…

とにかく、9000ヒットありがとうございました!!そして遅れてすいませんでした…
これからもよろしくお願いします!!!!
20080226












あきゅろす。
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