8000ヒットお礼@(スレナル)

れんげが家にきて突然こつこつと音がした。

見ると小鳥がくちばしで窓を叩いている。

れんげがそれを思い切り睨んでいるのを尻目に俺は小鳥を見送った。

「悪い、任務が――」

振り返るとドアが開いたまま、れんげは居なくなっていた。



「ちょっと、サクラ、聞いてくれない!?」

わたしはナルトの家に小鳥が来るとすぐさま家を飛び出してサクラの家に向かった。

「何?また修行?」

いつも同じ文句を言っているからか、彼女は何も訊かずにそういってため息をついた。

「そう!今日こそデートしようっていってたのに…!!」

「ほんと…ナルトは修行バカだから」

サクラはナルトが暗部総隊長ということを知らない。だから暗部の任務が入ると修行ということにしているのだ。

「すぐに終わる、すぐに終わる…そればっかり!一時間で帰ってきたことなんて無いのに!」

「れんげ…さすがにそれは無理よ」

頬杖をつきながら彼女は適当にわたしの話をあしらっている。別にわたしのほうも言いたいだけなので気にしないが、彼女は不意にポツリと呟いた。

「そもそもなんでナルトなのよ」

わたしは否応なしにその言葉につまってしまった。

「どべだし、デリカシーないし」

そりゃあ火影になるって夢だけはあるけど、それだけでしょ、と彼女は事も無げに言った。

わたしは少しだけ黙って、どべって言っても最近はすごく強いよ、と言葉弱く言い返した。

「でもねぇ」

彼女はそれで飽きたらしく、立ち上がって、師匠のところに行ってくるわ、と言った。

「わたしも…なにか任務もらおうかな」

来た時の怒りはすっかりなえた心になっていた。



火影さまに任務を頼むなり、休みを取ったのに任務がしたいだと、とまくし立てられた。

「はい…無理でしょうか」

「そんなことはない。むしろちょうどよかった。お前にぴったりな任務がある」

はあと意味がわからずとりあえず返事して、難しいことは無い楽な仕事だ、と火影さまから任務内容を受け取る。

「護衛任務…」

木の葉の里のはずれにある小さな村に出向き、木の葉の里まで護衛するというものだった。

「最近はぶっそうだからな、一応念のためっていうやつだろう。襲ってくるとしたら忍くずれの盗賊だな」

なるほどCランク任務だ。これならあまり気を引き締めることも無く楽にこなせる。しかも里までの歩いての護衛だから里に着くころには日が傾いているくらいになっているだろう。

わたしはすぐに村に向かうことにした。


それで、あなたが忍者の方ですか、と目の前の籠を背負った依頼人は心配そうに言った。

「はい」

「こんな女の子が一人で…」

大丈夫です、任せてくださいとわたしは励まし、早速村を出ることになった。

「どうして木の葉に行くんですか」

村を出てしばらく、周りにある程度気を配りながら、ただ歩くのもひまなので彼に話し掛けた。

彼は少し戸惑うようにわたしを見、それから諦めたのか、ぽつりと話し始めた。

「村には大変な病のものが数人いますが村ではその薬草が採れません。それを買うために週に一度交代で里に行くんです」

そうですか、とわたしも静かに応えた。確かに、村の人の命がかかっているお金を盗賊に奪われてはひとたまりも無い。

でもそれなら帰りも護衛が必要なんじゃないだろうか。任務内容には里から村への護衛とまでは書いていなかった。

そのことについて訊くと、里には村の腕自慢がいて、その人と一緒に帰ってくる、のだそうだ。

わたしはまたそうですかと応えて彼の後をついていった。

しばらくしてあくびをかみ殺していると、わずかに衣擦れの音が聞こえて振り返った。

「なぜ下忍がここにいる?」

わたしは暗部服の忍が二人居たのに驚いて少し飛び上がりながら、げ、下忍じゃない
ですよ、と何とか言い返した。

「わたし、中忍ですから――」

「そんなことはどうでもいい。なぜここにいるんだ」

何を言っているんだろう、とわたしは思った。こっちが言いたいくらいだ。

「この方を護衛する任務でここに居るんです」

わたしは依頼人を示す。彼は少し戸惑っているようだった。

「その任務はSランクだ、その人は俺たちが護衛する」

「はぁ?Sランク?Cランクでは…」

「Sだ」

暗部の人は力強く言った。

もしそうだとしたら、わたしのは一体なんなんだ。

「まあいいじゃねぇか、烏。今さら里に帰すのはかえって危険だしな」

暗部の人の右側に居た人が苦笑交じりに言う。

「うるさい。護衛人数が増えただろ」

「お前にはあんまり関係ねぇだろ、人数なんて」

左側の、烏と呼ばれた暗部の人は舌打ちをした。

「あの…わたしはどうすれば」

「君には一緒についてきてもらう。もし戦闘になっても加わるな」

右側の人が言った。わたしは返事をして、暗部の人たちが前後ろに別れて歩き出した。

――そういえば烏って聞いたことあるような…。

わたしは頭の中の引っかかりを掘り起こすために考えていた。

――あ!思い出した!確か、カカシ先生が言ってた、暗部総隊長――

と思い出したとき、耳の近くで金属が触れ合う音がした。

驚いて見てみると、地面にクナイが二本刺さっている。

「気を抜くな!来るぞ」

後ろの暗部の人にそう言われて、その総隊長にタメ口で話せる人って誰なんだろう、と思いつつ気配が全くつかめない敵に対して身構えた。

「鶯、ここは頼んだ」

「おう」

烏さんはそう言って森の中に入っていった。

「どこに行ったんですか」

わたしが鶯と呼ばれていた後ろに居る暗部の人に尋ねると、敵の殲滅だ、と言った。

するとまたどこからか手裏剣が飛んできて、難なく鶯さんがそれをはじくと一斉に敵が出てきた。

「こんなに…!」

わたしはそっと依頼人を守るように動く。そのあっという間に敵はわたしたちの周りを囲んでいた。ざっと、二十人ほど。

「君は手を出すな」

「でもこれだけの数を一人では…」

ぽんと鶯さんの横に二人、影分身が現れた。

「気を抜くなよ」

そういうや否や、三人は敵向けて飛び出した。

わたしは言われたとおりに依頼人のそばにぴったりとくっついて気を抜かないように周りを観察していた。

めまぐるしい戦いだった。

速すぎて何が起こっているかほとんど分からず、わたしの目には何かがうごめいているくらいにしか映らなかった。

敵はやられても一声もあげずにぱたりぱたりと倒れていく中で、ぽんと影分身が消える音がして敵が一人わたしたちのほうに向かってきた。

わたしは素早くクナイを取り出し、応戦しようとしたが目の前に来る瞬間、吹き飛ばされた。

「大丈夫か」

「…はい」

「もう少しの辛抱だ」

少し言葉を交わした後、鶯さんはすぐに戦闘に戻り、しばらくもしないうちに最後の一人が地面に伏した。

「…すごい」

わたしは思わず呟き、思い出して慌てて依頼人の安否を訊いた。

「大丈夫です、おかげで怪我はありません」

わたしはほっと胸をなでおろした。

「さて、烏ももうそろそろ終わっていると思うが…」

とにかくここを離れるぞ、と言って彼は歩き出した。

「そもそもなんで下忍がここにいるかだな」

「中忍です。わたしが聞きたいくらいですよ」

ざっと音がして振り向くと烏さんがいた。

「終わったか」

ああと彼は返事し、わたしと眼が合うとどうしてかため息をついた。

「な…何なんですか」

「いや…あのババアに訊かないとな…」

何の話かわからなかったわたしは追及せずに前を向いた。


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