ジャズ・キャットウォーク(スレナル)
晩ごはんを食べた後、片付けもせずソファで横になった。

「ふう…」

今日は一日疲れた。
こうしてソファで横になって目をつぶっているだけでも寝てしまいそうだ。
しかし晩ごはんの片付けが残っている。でもあとちょっと…あとちょっとだけ横にならせて…。

頭の中で、寝ていたい、でも起きなきゃ、と葛藤していた、ら、口に何かが触れた。

「!?」

物音も何の気配もなかった。びっくりして目を開けるとにやにやと嬉しそうに笑うナルトがいた。黒い外套を着ている。
にやにや顔のまま私に顔を近づけてきた。

「ただいま」

「いつ帰ってきたの」

「さっき」

「…」

深くは訊くまい。

よいしょ、とナルトがソファにあがってきて私の上にでんと身体をのせた。重い。
もう一度だけ口に触れてからナルトは胸の上でだれてしまった。
珍しい。普段こんな甘えるような行動はしないのに。何かあったのかな。

「…お疲れさま」

やわらかい髪を撫でてみる。普段寄り付かない猫のたまの甘えたを甘やかすみたいに。でも猫にはない感触があった。撫でる途中で髪とは違うざらりとした感触。血の臭いはあまりしなかったのに。
その感触に反応していたらしい。猫は私をちらりと見つめた。

「訊かないんだな」

訊いても答えてくれないだろう。

「任務だと聞かないほうがいいでしょ」

これもあるし。

「まあ、な…」

甘えん坊さんはまた胸の上に顔を戻した。

「独り言ならしかたないけどね」

変な感触も気にせず撫でる。

「最近よく分からん連中が木の葉によからぬ事を企んでるらしいっていう情報があって…その情報収集やら暗殺やらで最近休む間がない…」

だんだん声が小さくなってはっきり聞こえなくなっていった。もにょもにょと寝ぼけ声になっている。

「ナルト、ご飯は?」

「…ん…」

「シャワーは?」

今度は返事がなかった。全く珍しいことに、寝てしまったらしい。本当に、最近休みがとれてないようだ。ひょっとしたら睡眠時間もないのかもしれない。
重いのだが、人の温かさにつられて私の思考もとけていった。

それからしばらくどっぷりと熟睡していたら、こんこんとひかえめな音に起こされた。
ぱちりと目を開けるとがばりとナルトが少し慌ただしく起き上がっていた。

「やべぇ寝てた…」

「おはよう、」

そういうとナルトは私に馬乗りになったまま固まって私を凝視した。

「…悪かった、重かっただろ」

くすくすと笑ってしまった。

「全然大丈夫」

こつこつ。窓にいる鳥がくちばしでガラスをつついていた。

「ったく…」

わかったわかった、とナルトが言うと気が済んだみたいで鳥はすぐに飛んでいった。任務なんだろう。鳥が戻ったということは雇い主――火影さま――に忍に連絡がついたことを知らせるのだ。

「一時間ほど寝てたか」

「そうだね…ご飯食べとく?」

「ああ」

ナルトの食事はあっという間だ。あたためなおしたら五分、十分もしないうちに食べ終えて、じゃあ行ってくる、と姿を消した。
急いで言った気を付けてが聞こえてるかあやしいところだ。

私は食器を片付けて明日のために早く寝ることにした。










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20121127


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