2万ヒットお礼!(サスケ/連載番外のような感じ)


いつものごとくふらふらと一人森の中に入ったあたしはいつものごとくサスケに見つけられた。しかし、今日は少し状況がいつもと違った。

「なんでサスケまで迷ってるわけ…?」

あたしがポツリとそうこぼすと、目の前で毅然と歩いていたサスケが立ち止まった。さっきまでのきりっとした背中が反対向いて、ここは変わらないらしい、いつもの無表情があたしを見た。

「知るか」

なんとももっともな一言を言い捨ててサスケはまた前を見て歩き出した。こんどは勢いがそがれたらしく、少ししんなりした感じで、心なしかゆっくりと歩いている。

そういえば、迷ったら動き回らずにその場にいたほうが良かったんじゃなかったっけと思うけれど、はっきりとした確信がないので何も言わず、サスケの後ろをひっついて黙々と歩く。どっちであっても、いつか香燐が見つけてくれるような気もするが。

森の中はうら暗く、時折木々の隙間から見える空は重たそうな色をしている。がさがさと音を立てて獣道のようなところを歩いているサスケの、歩く調子はぜんぜん変わっていない。その自信はどこから来ているのだろう。

その時、突然空が光って森の中まで一瞬明るくなった。その不意打ちに知らず知らずのうちに体をこわばらせてしまう。しばらくして鳴り響く雷の音に、あたしは少しだけげんなりした。

「雨、降ってくるかも…?」

また、今度は森の中まで光り、う、とあたしは息をのんでしまった。そしてすぐに鳴り響く雷。

「…怖いのか?」

息をのんだあたしに気づいたらしいサスケは振り向き言った。まさかそんなガラじゃないだろう、という風な意味を含んだような言い方だったのであたしはあさっての方向をむいた。

「べつにー。ただちょっとびっくりするだけで、怖くはない」

そこらへんのかわいこぶってる女と一緒にしないでくれる、という意味を込めて軽く睨む。その意味が分かったのか否か、サスケはしばらくあたしを注視した後、また歩き出した。

そこで雷とはまた違う音が森中に響いた。

「雨降ってきた…!」

この辺りは、しかし、特に木々が生い茂っているのですぐに濡れるということはないが、隙間はあるのでそこから雨が降り込んできてしまう。森全体を打ち付けるような激しい雨なのでたとえ隙間でもべたべたに濡れてしまうだろう。できるならそれは避けたい。

「ね、ちょっと雨宿りしない?しばらく歩いてたし、休憩もかねて、さ」

サスケは少し上を見上げた後、少しだけため息をついてすぐ横にあった大きい木の根元に座り込んだ。

「さっすが〜」

軽口を叩いてあたしもサスケの隣に腰を落とす。自分としてはそれほど親しいと感じているわけではないので間を空ける。ぎりぎり反対側になるかならないかくらいに。それに雷なんかにびびっているのを見られて鼻で笑われたらまた一人で迷いそうだ。

(でも全くサスケに見えないところにいないのは、やっぱ怖いのかな…)

そう思うとなんだかため息が出てくる。いっそ開き直ってやろうか。雷が怖いのは本能です!

もんもん考えていると再び突然森が光ってあたしの思考は停止した。同時に心臓まで揺さぶられそうな轟音が森の暗闇を突き抜ける。

「っ…うげー…」

怖っ、という言葉は何とか出さずに厭な声だけをだす。思わず膝を抱え、気づいていながらなかなか解こうという勇気が湧かない。

「やっぱり…」

こっちを見たサスケは無感情にもそう言い捨て、あたしは怖さでキレ気味に言い返す。

「だってもし当たったらって思うと怖いでしょ!」

でも来てくれたのが水月じゃなくてよかった。奴ならきっと今のあたしを指差して爆笑するだろう。そんな様を頭に思い浮かべて思わず眉間に力が入る。

サスケは少しぼけっとしながらあたしを見た後、あたしの隣に座り、あたしの頭をなでた。

あたしは困惑して頭を傾けながらサスケを見ると、彼は空の様子を眺めている。また雷が鳴ってあたしはぎゅっと自分を抱きしめた。

「仕方ない」

サスケはそういうとあたしに背中を向けた。

「…は?」

何考えてんだ、こいつ?ついに頭おかしくなったか…?

そんなことを考えて、サスケを見ていると、早くしろ、と不機嫌そうに言う。

「何で」

「…この様子だともうしばらく雨は止みそうにない。雷もだ。止むまで待ってたらいつになるか分からないからさっさと行きたいが、怖いんだろ、雷」

おぶってやるからさっさとしろ、とぶっきらぼうに言い放ってまたあたしに背中を向けた。

要するに、あたしは雷が怖くて怖くて歩けもしないと、そう言いたいのか。

確かに、今の状況だと歩くのもままならそうに思えてきて仕方がない。サスケの考えどおりの状態にあたしは思いっきり舌打ちした。

「しょうがない、そんなに先を急ぐならおぶさられてやりますよ」

軽口を叩いて少しだけ勇気を出し、腕を解いてサスケの背中にのしかかった。こうなったら重くしてやる。

「…軽」

「ねぇそれ嫌味?」

「まあな」

「なんかむかつくー!」

首をしめてやろうと動くと、分かったから騒ぐな、と言われ、それを無視して絞めにかかろうとすると不意打ちに雷がなった。さっきから小さいのがちょこちょこ鳴っていたがこれはまた大きかったので、サスケの服を握ってしまった。

あたしは自分の恐怖を抑えるのに必死で、それに少しだけ笑ったサスケには気づかなかった。









>おまけ

サスケが森から出るころになると雨が止み、青空が見え始めていた。れんげはサスケの背中で寝息を立てている。

そこに他の3人、水月、香燐、重吾が追いつく。

「ってあれ?何でれんげがおんぶされてるの?」

水月はその異変にサスケに真っ先に問う。

「雷が怖かったみたいだ」

それを聞くと水月はとたんに笑い出した。

「あはははは!雷!?子ども!?」

ついには腹を抱えて地面をたたき出した。その騒々しさにさすがのれんげも起きたようだ。ものすごい目で水月を睨んでいる。

「あ、れんげ、大丈夫?」

重吾はたくましきかな、殺伐としたようすのれんげにやさしく声をかける。れんげはにっこりと笑い、うん大丈夫、と返す。全く、今度からはあたしと行動するようにしろよ、と香燐もため息をつく。

「うん、そうする」

れんげはサスケに下ろしてもらいながら、未だ爆笑している水月に近づいて彼を踏みつけた。

しかし水月は横に転がってそれを避ける。

「チッ…」

「まあまあそんなに怒らなくても…ぶはっ!雷!!」

ようやく落ち着いたと思ったら水月はれんげの顔を見るなりまた噴出して大笑いし始めた。れんげはその様子をきびしく睨みつけ、ふいと顔をそらした。

「もういい、行こう、サスケ、香燐、重吾」

「あ、待ってって、れんげ…ぷっくくく…」

それからしばらくは爆笑する水月とそれを睨みつけるれんげがいたそうな。









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と、いうわけで、2万ヒットありがとうございました!ご自由にお持ち帰りください!

…まあ、いつもの事ながらかなり遅れまして…すいませんでした…!(土下座滝涙

やー、でも、久しぶりに書いてたら、楽しかったですこの二人(^^ もうなんか恋愛感情これっぽっちもない感じがして仕方ありませんが(^^^

とにかく!ありがとうございました!これからもよろしくお願いしますっ!


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