きらきら(火影ナルト/きっと甘)
しっとりとした雨もように木々が艶やかに濃くなっている。
わたしは軒下のベンチに座って音もなく降り続ける雨を眺めていた。ここ最近の忙しさを忘れるためにじっと見入る。
「何やってるんだ?」
すぐ後ろから聞こえた声に驚きつつも振り向くと雨の日でもまばゆい彼がいた。
「火影様、どうしたの」
すると彼は無表情をくずし呆れたような顔をした。
「あのなぁ…その火影様っつーのなおらないのか?」
うーん、とわたしは特に考える間もなく、無理、とこたえた。
彼はわずかに溜め息をつきわたしの隣に腰を下ろした。その何気ない身のごなしにさえ音を立てないことに尊敬の念をもたずにはいられない。
「なんでだ?」
「なんでもよ。どうしても無理」
ただわたしの隣にいるだけでもこんなに存在感があるのだ、どうしたって尊敬してしまう。だからこそナルトと呼ばずに火影様と呼んでしまうのだ。
「…まあ、いい」
「あ、そういえば、火影様は何しに来たの」
ん、とわたしをちらりと見て雨を見つめた。
「何してんのかなと思った、から」
「…わたし?」
少し不思議に思いながら訊いてみると、ああ、と彼はそっけなく答えた。
ちらと彼の様子を盗み見る。いつもと変わらない会話だが何かがいつもと違う。彼を見ても何が違うのかすぐには分からなかった。
しかし彼のむこうのほうの壁のはしから人が覗いているのが見えた。
「あれ?サクラ?そこで何やってるの」
すると火影様の肩がぴくりとゆれた。
なんだろうと見てみると彼はわずかに頬が赤くなっていた。
「え、どうしたの、ナルト」
わたしがそう言うとぶはっと吹き出して彼は顔を覆った。
「お前っ…それ、反則っ…!」
いつのまにかやってきたサクラはぽんと彼の肩に手を置いて、同情するわ、としみじみ言った。
「…何?それ」
結局なんのことか二人は教えてくれなかった。
§オマケ
「はあ!?ちょっ、サクラちゃん何言ってんだ!?」
「何って彼女にアプローチしなさいって言ってるのよ!」
「いや、だからなんでそうなるんだよ!?」
「アンタ火影になったくせに恋愛になると全く奥手になるんだからそれぐらいしなさい!」
…というわけでナルトさんはやらされました☆
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旧ブログにのせたもの。今さらアップしました…
20080731
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