ひるとよるのはざま(スレナル)


そんな馬鹿みたいに甘い言葉なんていらない。

夕暮れになる一歩手前の空の下、ナルトの家の屋根の上でわたしは言い放った。

「何だよ、お前が言えっていったんだろ。でないと家の中ぐちゃぐちゃにするって」

ナルトが寝そべったまま言う。わたしはその姿を一度睨んで、屋根の上に寝そべった。

確かに言えといった。けれど、家の中をぐちゃぐちゃにされるのを避けるために言ったのなら、なんて軽い言葉なんだろう。たとえそんな条件じゃなくても、愛の言葉なんていうものはばかばかしく軽軽しく、信用に値するものではない。そんな気分にさせるための薬のようなものだ。そのときだけ舞い上がって、あとは地獄。

「ばかばかしい」

はあ、とナルトが馬鹿にするようにわたしに訊きかえす。

「今さらだろ」

「…もういい。気持ちがないなら別に言わなくてもよかったのに」

今度は呆れたようにナルトがため息をついた。

「感情込めて欲しかったのか?」

「…そうしたら、何か変わると思ったけど」

わたしは腕を上に伸ばしてため息をついた。でも、何も変わらないと思う。そもそも、彼に頼んだのがいけなかったのか。

「無理だな。俺にそんなことを求めんな」

「でもさあ、ナルトだっていろんな任務受けるんでしょ、色とか…」

西の空に出てきた一番星を見つめながら言う。太陽はだいぶ沈んでいる。

ナルトは何か言いたそうに黙った後、まあな、と呟いた。

「じゃあそのときにさ、女の人をその気にさせる言葉とか言ってんじゃないの?」

「まあ、言ってるが、感情なんて込めなくてもそれらしく言ってやればそれで終わりだしな」

軽い女、とわたしは呟く。

「それに、言ってることはさっきのと同じだ」

ばかばかしい、とわたしはもう一度繰り返した。なんだって、人は言葉に安寧を求めるのだろう。言葉なんていくらでも嘘で塗り固められるのに。

だからわたしは言葉に感情を込めないし、もしかしたらナルトもそうかもしれない。人なんて信用してないから。

「それよりさ、ナルト。わたしが死にたいとき、ナルトがわたしを殺してくれる?」

わたしが寝そべったまま彼をみて言うと、彼はめんどくさそうに、いきなりなんなんだよ、とこっちを見ずに言った。

「さあ、わかんないけど、そっちのほうが確かだからかな」

そう言うと、ナルトはふっと笑った。

「分かった」

空を見ると、星がだんだんと輝き始め、太陽は完全に沈んで地面が暗くなり始めていた。








(たしかなものをさがして、でもやっぱりかんたんにみつかるはずもなく)









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例によって突発(汗

かなり自己満に走ってますねー…滝汗
20080721


あきゅろす。
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