walk hand in hand 4


あれからしばらくして、わたしの目の前に再び金髪の男の子が現れた。

彼と会うのは決まって夕方だ――まだ2回しか会っていないけれど。

わたしはまたいじめられたあと、寂れた公園のブランコで一人を過ごしていた。最初のうちはいじめられてほんとうに悲しくて泣いていたが、今ではもうなんとも思わなかった。受け入れたと言ってもいいくらいだ。

両親にはあいかわらず何も言っていない。いつものように静かに自分の部屋に帰っている。

今日はもうしばらく一人のままでいて、それからゆっくり帰ろう、と思っていた。

すべてをはちみつ色に変えてしまうような光の中、ふいに彼がわたしに話しかけた。

「お前、いじめられてるだろ」

どきん、と心臓がいやななりかたをした。自分ではわりきっているつもりだったが、他人に言い当てられると動揺してしまう。

どうして、とわたしはかろうじて言い返した。もしかしたら声が震えていたかもしれない。

彼は隣のブランコに乗ると、無感情に言った。

「俺もそうだから」

今度はずきんと心臓が痛くなった。どうして、などと訊けるはずもない。わたしは押し黙った。

沈黙に、わたしが鳴らしたブランコの、キイ、という音が入り込む。ひどく、物寂しかった。

「うずまき、ナルト」

「え?」

とつぜん彼は言った。わけがわからず、彼を見つめて聞き返す。

「俺の名前」

「そうなんだ…わたしは、ののかげれんげ」

「知ってる」

え、ともう一度彼を見つめた。彼はものすごく真剣な表情で、わたしを見返している。

「表向きは偵察専門、裏では抜け忍、裏切り者の抹殺を生業にしてる」

わたしは驚いて、でも手を静かに武器に触れさせた。表向きの仕事を知っているのは不思議ではないが、裏の仕事事情を知っているのは火影くらいだ。どうして、こんな子供が?

「あなたは、誰?答えによっては――」

「俺は、暗殺戦術特殊部隊、総隊長だ」

「…」

(こんな、子供が?)

いや、とわたしは否定した。わたしだって同じようなものじゃないか。それに一族にわたしみたいな子供はたくさんいる。

でも、なぜ子供の姿なんだろう。わたしを安心させるため?それとも本当の姿?

「その総隊長さんがしがない一族の娘に、何か、用?」

彼はひとつ間を置いてはっきりと言った。

「暗部にならないか?」

わたしは今度は呆れた。まさかアカデミーに通っている子供が突然暗部になれるはずがない。

「そんなの無理よ、だいたい両親に相談しないと…」

「お前は子供か?自分のことくらい、自分で決めろ」

あなたも子供でしょ、とわたしは心の中で毒づいた。いきなりこんなことを言われて、はい、いいですよ、と答える人がどこに居る。

「暗部には俺の権限でなれる。というか、絶対だ」

「…じゃあ訊く必要ないじゃない」

わたしは呆れすぎて笑った。彼も初めて真剣な顔を崩してにやりと笑った。

この日から、わたしは両親には知らせられない、暗部になった。









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お久しぶりです!

てか、このプチ連載、この先考えてません…(^^;;

こっからシリーズ化、するかも…汗
20080719


あきゅろす。
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