walk hand in hand(ぷち連載?)
わたしは目の前の野次馬を睨んだ。
「ののかげ一族め!その情けないツラ、よくさらせるぜ!」
野次馬の一人、男の子があざけるような顔で言った。まわりの人たちも同じような顔で笑っている。わたしはむっと感情をおさえこむことしかできなかった。
「お前の父ちゃんと母ちゃんも、敵が来たら戦わずにすぐ逃げるんだろ!」
殴りかかってやろうか、と思った。けれどこぶしを握りしめただけでなんとかこらえた。お父さんとお母さんの言葉が頭の中で響く。たとえ父と母とこの一族がなんと言われようと、私たちは誇り高いことをしているのよ。何があっても、それを忘れてはいけません。
わたしは逃げるためにうしろを向いたが、そこにはもう野次馬がいた。
「おっと逃げるなよ!俺たちがその情けない性根、叩きなおしてやるぜ!」
そう言って男の子が一人わたしの胸倉をつかんで地面に叩きつけた。ひじをすりむいて、痛い。
すぐに誰かがわたしのおなかを蹴りつけた。せきをする間もなく背中も蹴られる。そうして次々に体中を蹴られた後、何の反抗も見せないわたしに飽きたのか、ぞろぞろと野次馬達はどこかに行った。
「げほっ…ごほっ」
せきをすると口の中に血の味が広がってわたしは顔をゆがめた。それをがまんして飲み込んで、立ち上がろうと腕に力を入れると痛みが走った。
痛い、となんとか声に出さずに立ち上がって体中を見ると、泥だらけでところどころ血がにじんでいた。
(どうしよう…家に帰れないよ)
はあ、とため息をつく。下をむいてどう言い訳をするか考えた。おもいっきり転んじゃったことにする?でもそれじゃあこんなに怪我しないだろうし――。
ふと何かに見られているような気がして顔を上げると目の前に自分と同じくらいの男の子が立っていた。その金色の髪の毛が夕日に反射してとても綺麗だ。
彼は何も言わずただわたしを見てつっ立っているだけだった。なんだか痛々しそうな顔をしているようだけど、はっきりと表情はつかめない。
どうかした、という意味をこめて首を傾けると彼はしばらく何か迷うようなそぶりを見せた後、背を向けて走り去っていった。
(なんだったんだろう)
しかしわたしは深く考えることをせず、あきらめて家に帰ることにした。こっそり自分の部屋に帰ればなんとかなるかもしれない。
わたしは夕日に背を向けて家路を歩き始めた。
・・・・・・・・・・
例によって突発です。
なんだか激しく夢じゃない感が…気分を害されたらごめんなさい(>_<;;
たぶんちょこちょこと続くかと思われます、この話。
ネタバレに抵触するかもしれないですがならないようにふんばります(^^
20080525
(はっっ!今日はコンスタンティン…!!←映画)
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