世界が終わる夜に(サスケ)


がたんと音が鳴って、わたしは顔を上げた。

「久しぶり、だね」

当たり前のように部屋に入ってきた彼はひどく驚いていたようだった。

「今ごろ帰ってくるなんて…何か忘れ物でもしたの?」

彼は驚くのを止めたようだが、何もしゃべらなかった。

「もう何年経つかなぁ…二年ほど?」

彼はただ突っ立っている。

わたしはただしゃべりつづけた。

「ねぇ、これ覚えてる?サスケがわたしにくれたガラス細工…」

わたしは今まで握り締めていたガラスを彼の前に差し出す。

彼がどういうつもりでこれをわたしにくれたのか、わからない。

彼はそれをただ見ていた。

「…驚いた?わたし、あなたが出て行ってからずっとここに来てるの」

とろりとした闇の中、ベッドの枕もとに置いているろうそくがぼんやりとわたしを照らし、彼を現していた。

わたしが何故ここにこうして居るのか解らなかった。

「何故ここにいる?」

彼は、責めているわけでもなく、怒っているわけでもない、ただ声を出した。

知らない、本当はそう言うべきだが、わたしは何もいえなかった。

わたしは立ち上がり、ガラス細工は落ちてぱりんと音を立てた、彼にすがりついた。

「ねぇ、どうして出て行ったの?もう帰ってこないの、ずっとここにいないの。どうして――」

彼はわたしを引き剥がしてベッドの反対側にあるたんすに向かった。

「もう来ない」

彼はそれだけ言ってこの部屋から出て行ってしまった。

わたしは何ができるわけも無く彼を見送って、床に座ったまま、わたしはどうしてここに居るんだろう、と考えた。

かつてわたしが彼に送った小さなプレゼントはたんすの奥に置かれっぱなしだった。

その時愛情だと思っていた感情はどうしようもなく色あせて、今では何も無い中身がはっきりと解る。

そういう見せ掛けの感情にわたしは振り回され続けていたのだ、そういうふりをして自分が満足していたのだ。

わたしはろうそくを消した。

部屋をそのままにして、わたしも出て行った。

(わたしが求めていたのは、彼じゃなかった)







チ ャッ ト/モ ンチーさんの同タイトルの曲を聞いていたら、突発的にきました。

キリバンのやつもかかなきゃいけないのに申し訳ないです:汗

でももうしばらくかかりそうなんで、穴埋めに。











あきゅろす。
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