二十一話 「名前ちゃーん、なにするー?」 さっきからずっとこの調子。私は身の危険を感じて、少しでも離れようと城内を歩き回ってるけど、佐助は楽しそうに笑みを浮かべてついて来る。 うーなんか嫌だな・・・・・。 「あっ、名前ちゃん」 私は一気に走り出すと、後ろから気の抜けた声が聞こえた。だって佐助ってばなんか怪しいんだもん!! 「俺様から逃げようなんて100年早いよ? 名前ちゃん」 「 !! 」 嘘・・・・・結構距離作ったつもりなのに、いつの間にか佐助は私の目の前にいる。 「佐助って・・・・・一体何者?」 「嫌だなー物騒な物を見るような目で見ないでよ。俺様傷ついちゃう」 「ご、ごめん」 だって、普通人間ならそんな神業できないし。 「名前ちゃんは、忍って存在知らない?」 「知ってるけど・・・・・。えっ佐助って忍なの!?」 「んーもう少し早く気付いてほしかったな」 佐助は満面の笑顔。だけど心から笑ってないのがわかる。正直ちょっと怖い・・・・・かも。 「可笑しいね、この乱世で生きてるなら忍ってことくらい、誰でも見ればすぐに分かるはずだけど」 「 !! 」 そんなこと言ったって、私は違う時代の人間だからなんて口が裂けても言えなかった。伊達さんにもしものことがあるから、言わないようにいわれてるからだ。 まるで感情をもたない人形のような佐助の眼差しが痛い。私は口を一文字に結んで押し黙る。すると佐助は、呆れたように首を左右に振って溜息を着いた。 「嘘だよ。ちょっと名前ちゃんの反応が見たかっただけ」 「なっ」 「あはーそんなに睨まない! しょうがないじゃん、名前ちゃんといるとなんだか虐めたくなるんだよね」 佐助って絶対Sだ。というか、この時代の人はSっ気が多い気がする。眼帯の人とか、眼帯の人とか、眼帯の人とか。 「それからね、首もと色っぽいね」 「え?」 確認したくとも、首は頭とくっついてるわけだから自分じゃできないワケで。 佐助が女の子なら身だしなみ整えるくらいのもの、もってなきゃ駄目だよなんて手鏡を渡してくれた。なんかお母さんみたいだな佐助。 お礼を言って、佐助が指差す場所を映した。 「・・・・・・? ・・・・・・・・・・・っ!!!」 最初は蚊に刺されかと思った、赤い鬱血したような箇所。だけど、絶対コレ違う・・・・・・・・。 「あああああの、伊達男・・・・・・っ!!!」 昨夜捕まった時だ。もぅ嫌だ、恥ずかしい・・・・!! 「は・れ・ん・ち! じゃー何処行きましょうかね、お姫様」 「佐助、何処か勝手に行ってい」 「じゃあ、旦那達の勇姿でも見に行こっか」 「ちょっ・・・・!!」 佐助は素早く私を横抱きにすると、一瞬で外に出た。瞬間移動ってやつ・・・・? 忍者ってなんでもありなんだね・・・・。漫画の世界だけかと思った。まぁ、トリップだって普通にあり得ないことだけど・・・・・・・・。 「旦那達はー・・・・あ、いたいた」 「やだっ、離して佐助!!」 恥ずかしくて、合わせる顔なんてないよ・・・・っ!! [*前へ][次へ#] |