十話 翌日も、私は片倉さんに連れられ昨日と同じ畑に足を運んだ。 やはり気を遣っていてくれているんだろう、何だか素直に嬉しかった。だけど片倉さんは、私のこと迷惑とか思っていないのかな・・・・・。 「すいません、片倉さん」 「何がだ?」 「二日連続も・・・・、迷惑、してないですか? お仕事とかもあるだろうし」 「大丈夫だ。ここのところ音沙汰なしだし、野菜も少し見ていなかったしな」 「そうですか。あの、・・・・音沙汰というのは」 「まぁ、戦だな」 ・・・・・・・思ってたけど、やっぱりあまり平和ではなさそうだ。刀とか鎧とかあったし、戦国時代あたりなのかな・・・・・今更だけど。 「い、まは、平気なんですか?」 「あぁ、今のところ特になにも情報がないしな」 「そうですか・・・・・」 よかった。ちょっと現実を見た気がした、本当に今更だけど厄介な時代に来ちゃったな・・・・・。 少し顔が強張ってしまったのを気付いたのか、片倉さんはそっと私の肩に手を置いた。 「大丈夫だ。例え攻め入れられたとしても、名前は俺が・・・」 「Hey、名前、小十郎」 「あ、伊達さん」 ん? 片倉さんが何か言いかけてたけど・・・・・何だったんだろう? 「良い雰囲気じゃねぇか。俺も混ぜてくれよ?」 「政宗様・・・・・兵達との鍛錬はどうなされたのです」 「今は休憩中だ。それより名前、こっちに来いよ。なかなかexcitingだぜ?」 「え?」 伊達さんが手招きしてきたので、私は疑問を抱きながらそれに従って近付く。 伊達さんは口角を上げてるから、なんだか怪しいけど、エキサイティングなものってなんだか気になる。 私は伊達さんが指さしている方へと視線を向けた。 「き、きゃあぁあぁあぁあっ!!!!」 目に映ったのは、野菜の葉を這いずり回る緑色の虫・・・・・あぁ言葉にするだけで気持ち悪い!! 「くくっ、良い反応だ!! 」 伊達さんは腹を抱えて笑ってるし・・・・ひ、酷い!! 片倉さんに至っては・・・・あれ、片倉さんはどこに・・・・・。 「名前、よさないか・・・・・」 「 !! す、すいませ・・・・っ!」 気づけば、私は片倉さんにしがみついていた。え、いつの間に・・・・!? 驚き過ぎて全然周りが見えていなかったらしい。急いで回していた手を退ける。 「いや、いい・・・・・政宗様」 「Ha、悪かったよ。名前もそんなに怒んな。coolにいこうぜ?」 だっ誰のせいだと思って・・・・・まぁ、言えないけどね、そんなこと。 「名前、大丈夫か?」 「あ、はい。大丈夫です」 「そうか。・・・・・政宗様には少し、言い聞かせねばなりませぬな」 「ちょ、小十郎・・・っ」 「言い訳無用です、政宗様」 伊達さんは後退りするも、片倉さんは片手にネギを・・・・・あれ、ネギ? 「Wait!! 小十郎、待てよ!! もっとcoolに・・・・っ」 「政宗様、覚悟なされよ!!」 青筋立てながら、ネギを振り回す片倉さんと、冷や汗をかきながら必死に弁解する伊達さん。二人の姿が可笑しくて。 「ふふっ・・・・あははっ」 私は二人を見ながら、腹が捩れるほど笑った。 そういえばこんなに笑ったの、久しぶりだなぁと思った。 [*前へ][次へ#] |