あいまがばっくなんばー
★2/3A

「くそ…油断した。」

白のロンTに無数の赤い点々。
さっき出くわしてしまった春日部にやられてこのしまつ。

「マイッタ。楓、残りの豆は?」

「さっき応戦したからもうないよ。」

空の枡を眺めて大きく溜め息を吐く。

マジ…失態だ。
てこずるのは分かっていたが…まさか春日部がこんなに動けるとは。

「…予想外だぜ、体力バカップルめ。」

苦い思いで空の枡を見つめる。

…と!

「しゃがめ、楓!」

上げた声と共に俺の背後の楓がガバッと床に伏せる。
俺は自分の枡の中に手を突っ込み中の豆をギュッと握った。

「待て。降参だ。」
「ホールドアップだよん!」

静かな声と楽しそうな声がして…廊下の角から両手を上げた弟と芹が現れた。

「…なんで。」

俺の問いに二人は顔を見合わせて笑いながら。

「俺がコケて豆を床にまいちゃったの!」

「それで芹の服が汚れてしまったから俺達は棄権だ。」

ニコニコな奴等を見ながら肩の力が抜ける。

「…いいのか?」

「いいよー!」

楽しそうな笑顔につられてつい笑ってしまった。


◇◆◇◆◇


「アイツらが待ち構えてるとしたら…多分この先だ。」

弟達と一緒に一階に移動して…柊が狙いそうな場所を特定し、様子を伺う。

「なるほど。ここなら死角に入るからな…そして西野を狙うのか。」

「えっ!僕っ!?」

弟の声に驚く楓についつい苦笑い。
楓もそんなに反射神経は鈍くないが俺よりかは劣る。
ならば殆どの確率で楓を狙うのがセオリーだろう。

そんな事を思っている…と。


『こらーっ!!!』


突然の怒鳴り声に驚きそっちに視線を向ける。
すると…そこには。

「…七瀬?」

我がクラス委員長にしてこの寮の寮長の七瀬が仁王立ちで立っていた。

「なに…」
「なにじゃない!一体何時だと思ってんの!それになんだよ、アチコチのこの汚れは!」

興奮気味に怒鳴る七瀬の指の先に目をやる。

「…あ。」

そこには…
あちこちに赤い点々のついた壁と天井と床。

俺達は視線を交わし合って苦笑いをした。

「食べ物を粗末にするわ寮中汚すわ!お前らなにやってんの!?」

怒り心頭な様子にますます苦笑いが出て。

「悪い…すぐ掃除…」
「あったり前です!たった今から掃除やって!終わるまで寝かせないからね!」

プンプンと怒る七瀬が廊下の先に消え…俺達は揃って深い深い溜め息を吐き出す。

「…来年は公園でやろうな?」

俺の声にみんなは黙って頷いた。
スタスタと歩き廊下の角を曲がる…と、そこには。

「俺らも賛成。」

苦笑いをする柊と春日部がいた。

結局、なんだかんだでうやむやになり…公平に話し合った結果。

【勝者・七瀬】
…となった。

ある意味、これが平和的解決になったのではないか。
そんな事を思い掃除をしながら俺達は笑い合った。


‐END‐



あいまがばっくなんばーのパスは。

【nanase】
です(^O^)



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あきゅろす。
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