あいまがばっくなんばー
★3/3
2008.3.3 雛祭りSS

三月三日って言えば…女の子の節句じゃない?
私…大葉涼菜も例外なく今年のメインイベントの為に、こうして…着慣れない和装なんかをしちゃってる訳よ。

「ん、涼菜ぁーバッチリよ!さすがは私の娘ね♪」

散々の悪戦苦闘の末、やっと着付けを終えたママ…和美ちゃんが誇らしげに笑い、咥えたタバコに火を点ける。

「…咥えタバコはやめなさいって!一応オンナなんだからね!」

そう言う私も…着物着てるのに仁王立ちとかしちゃうから、これも遺伝って事でね?


◆◇◆◇◆


歩きづらくて…何度も階段を落ちそうになりながらも、やっとリビングのドアを開けた。

「わあっ☆」
「あ、可愛い!」

それに反応してくれたのは我がアニキ達の恋人さんだけで…。

「ホント?可愛い?」

「うん、可愛いよ涼菜ちゃん!」
「スシ、ゲイシャ!」

なんかエセ外人がいる?

「後ろはどうなってるの?」

その場でクルッと後ろを向くと智ちゃんが少しだけ近付いて。

「涼菜ちゃん、赤が似合うね?」

やんわりと笑ってくれた。

「えへ…そう?」

「いいね!可愛い〜涼菜ちゃん!」

照れる私の隣りで芹ちゃんがニコニコと笑って…恥ずかしいやら何やらで軽くテンションが上がった。

「お?馬子にも衣装。」

「涼菜もオンナだったんだな。」

相変わらずの毒舌アニキ共が現れ…ムッとしてそっちを向く。

「…もちっとまともなコメントは吐けないの?」

「褒めてるだろ?」

キョトンとした良ちゃんの顔を見て…なんだかムッ!って感じ!

「お前より俺の智の方が絶対色っぽいな。」

ケラケラと笑う拓ちゃんにソファに置いてたクッションをぶん投げた。

「…って!」

「どーせ私に色気なんてないわよ!」

「自覚してんなら問題ないだろうが。」

「それが実の妹に言う言葉なのっ!?」

ぶしつけな拓ちゃんにもうひとつクッションをぶつけて。

「馬鹿アニキ!!」

そう怒鳴りつけてやった。


◆◇◆◇◆


ホンット気に入らない!
…ってかあり得ない!
あの馬鹿アニキ!

ムッとした私はキッチンのテーブルセットにどっかりと座ったまま頬を膨らませてブーたれてる。

「…はい、ミルクティーだよ?」

そんな私にホカホカのミルクティーを手渡してくれる智ちゃんは…拓ちゃんが言うみたいにキレイで色ッポイ。

「…ありがと。」

…実際、オンナの私よりオトコの智ちゃんの方が…って言われたらヘコむでしょ?

ふぅっ…と溜め息を吐くと、頭にポンッって掌が乗せられて。

「拓真も良介も…照れくさかったんだよ?」

「…えっ?」

やんわりと笑って髪を撫でてくれる智ちゃんを見上げて…落着くのはなんでかな?

「いつまでも子供だと思ってた涼菜ちゃんがこんな風に大人になっちゃって…二人とも照れちゃったんじゃないかな?」

「…そう、なの?」

「そうそう!気にしない、気にしない!」

横にきた芹ちゃんもニコニコと笑ってくれて。
…なんか…
じんわりと染みた。

「おーい!いつまでもイジケてんなよ!」

リビングにいる良ちゃんが向こうから手招きをする。

チラ、と隣りの二人を見上げると…やんわりと笑ってくれて。

「ケンカするほど仲が良い、だよー?」
「涼菜ちゃんの為にって、今日は二人が料理したんだよ?だから…ね?」

促されてリビングに向かって…二人の前に立つ。

「おう、馬子。」

「んだ?まだむくれてんのか?」

相変わらずの暴言だけど…それが許せるのは血の繋がったキョウダイだからで。

「馬子とか言うな!…っつかたまには可愛いーとか、キレイーとか気の利いた事言ってよね!」

「可愛いー。」
「キレイー。」

ニヤニヤしながらそう言う馬鹿アニキ達にクッションを投げつけ、新しくできた優しいアニキ達を振り返りながら…。

「でも…みんな大好き!」

心の底から…そう思った。
優しくて温かくて…みんな私の大事な家族、なんだ。

見つめてくれるみんなが…やんわりと笑ってくれた。

―END―



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