あいまがばっくなんばー
★2/22
2010.2.22
‐Tomo'S
HAPPY BIRTHDAY!
‐智SIDE‐
例年に比べたら比較的暖かい朝。
誕生日の今日は…朝一番に大事な人から大切なプレゼントをもらった。
満たされて…もっと欲しいところで通学の為のタイムリミット。
ギュッと抱き締め合ってから二人でシャワーを浴びた。
…今日が休みだったら良かったのに。
◇◆◇◆◇
教職員用の駐車場で拓真と分かれて生徒用の玄関口に向かう。
「くどー!」
その途中に声をかけられ顔をあげると。
ドンッ!
同時に可愛いワンコが俺にタックルと言う名のハグをしてきた。
「くどー!会いたかったよ!」
「おはよう芹。二日振りだ…」
ピラッ。
言いかけた目の前に何か長い紙が広げられた。
「芹…これは?」
と聞くとその本人は嬉しそうに楽しそうに笑って。
「『くどーハピバ記念!芹ちゃんプレゼンツお手伝い券』だよっ!」
満面の笑みでそう言われて…俺は思わず苦笑いをした。
◇◆◇◆◇
‐拓真SIDE‐
かったるい仕事を終えてマンションの一階にあるウチの箱庭に車を停める。
ルームミラー越しに我が家のリビングの窓を見ながらエンジンを切りキーを抜き出してドアを開けた。
カラカラ…
それと同時にリビングのガラス戸が開く音がして。
「お帰り、拓真。」
そう言って可愛い恋人が姿を現した。
「支度は出来てるのか。」
今日が誕生日な可愛い智と今夜はディナーの約束をしている。
予約済みのその店に出掛ける為の着替えをしに部屋の中へ入る………と。
「お帰りなさい、お義兄さまっ!」
なぜか…
俺の弟の愛犬がいた。
「あの!これには深い訳があって…」
「今年の俺からのプレゼントは、一日くどーのお手伝いをするという…」
テーブルに並んだ黒焦げの固まりやらやたらと色の薄い汁。
幅広な葉っぱに表面がまだ焼けてない魚などなどをガン見しながら俺は軽いめまいを感じた。
「…支度しろ。」
苦笑いさえ出来ぬまま何とか絞りだした声に智と芹公が同時にしゃべる声を止める。
静かになったその場にもう一度、溜め息を吐き出しながら。
「飯を食いに行く。とっとと着替えろ。」
そう言って俺はクローゼットに向かった。
◇◆◇◆◇
‐智SIDE‐
暗い夜道を光りが幾筋も走り抜けていくのを見送りながら膝の上のサラサラな髪を撫でる。
「…ったく今日は誰の誕生日なんだか分かんねぇな。」
ルームミラー越しにそう言った俺の大事な恋人は…言葉ほど嫌そうな様子も見せずにそう言い俺は笑って返した。
今朝学校でもらった『お手伝い券』という芹ならではの奇抜なプレゼントは、俺の意志とは関係のないところでフルに使われ…最終的には芹の寝落ちという結末で幕を閉じた。
「食うだけ食ってしゃべり倒して寝ちまうところが芹公だな。」
「うん。でも楽しそうだったね。」
食事の間中の芹の笑顔を思い出して思わず頬が緩んだ。
軽い振動とともに車が停まり顔をあげると…そこはいつの間にか芹の住む寮の前で。
「芹を良介に渡したらソッコー帰ってセックスするぞ。」
シートベルトを外した拓真が後部のドアを開けてそう言い俺の唇にキスをした。
「…ムードないなぁ。」
仮にも恋人の誕生日だっていうのに…まあ言ってる事は間違いじゃないから仕方ないんだけど…と、複雑な思いでいると。
「とも。」
名前が呼ばれ握られた俺の左手がグッと引っ張られた。
「なに…」
「誕生日おめでとう。」
そう言った拓真が唇にキスをくれて…薬指に…何かが入れられて。
「新しいムシ除けだ。」
見下ろした先には…銀色に輝くシンプルな指輪があった。
「え…拓、これ…」
「前のはシルバーだったからな。今度のはプラチナだ。」
輝くその煌めきはギラギラした物ではなく、俺が好きな感じの艶消しがされているみたいで。
「いい感じだろ。」
そう言って満足げに頷き拓真はまたキスをくれた。
「時間があったから名前も入れた。ちょっと歪んじまったが…まあ読めんだろ。」
その言葉に驚きはめられた指輪を引き抜き内側に視線を走らせる。
『FOR TOMOYUKI
LOVE FOREVER
FROM TAKUMA』
顔が…熱い。
「もっとシンプルでも良かったがお前の照れた顔が見たかったから敢えてコテコテ仕様にしてみた。」
ニヤニヤと笑う拓真がまるでイタズラっ子みたいに見えた。
「とも…愛してる。」
唇にキスをくれて額にも。
そしてもう一度唇を重ねて…。
「ソッコー帰ってセックスしたくなったろ?」
そう言って笑う拓真に俺は何度も何度も頷いて返した。
「俺…拓真を好きになってホントに良かった。」
「今更かよ。俺は年中そう思ってるぞ。」
見つめ合い笑い合って唇を重ねる。
その愛の行為は…俺の膝に頭を乗せて眠っている芹が起きるまで幾度となく続いた。
‐END‐
あいまがばっくなんばーのパスは。
【otetsudai】
です(^O^)
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