季節SS
A

そして…何も思い浮かばないまま、バレンタインの夜を迎えた。

取りあえず小さなハート型のスポンジを買ってきたから…それにチョコをコーティングするか。

なんて思ってると、いつもより早い時間に拓真が帰ってきた。

「ただいま。」

「お帰り……なに?」

紙袋を渡されて中を見ると…チョコがたくさん入ってる。

「スゴい…」

「男子校なのにな。」

上着を脱いでドッカリと椅子に腰掛ける。

…自分だってオトコと付き合ってるくせにね?

「…で?」

「え?…なに?」

「お前からの本命チョコはないの?」

本…命?
そう言われると…なんだか照れるな…。

「これから作ろうかと…」

「マジ?」

ちょっと嬉しそうな顔して拓真が椅子から立ち上がる。

「今チョコを溶かしてるトコだから、まだ食べれないけど。」

「そうなんだ?」

近付いてきて、湯せんしてるチョコに指を突っ込む。

「拓真!熱くない!?」

「ん…ちょうどイイ。お前のナカくらいかな?」

…分かんないよ。

「もらった義理チョコ、全部溶かしちゃえよ?」

「…結構な量だから全部は無理だよ?」

「…じゃ、酒入ってるヤツだけ。」

袋をあさると…V・S・O・Pやボンボンが入ってて…。

「そうだね。このくらいならいいかな?」

ボールを出して、鍋の火を強める。
箱から洋酒入りのチョコを出してボールの中に入れた。

「…いい香り。」

後ろから抱き締められ、拓真の舌が首筋を舐める。

「お前の方がイイ匂いだよ。」

そう言って…頬にキスされた。

「…ばか。」

口の端上げて笑う拓真はイヤラシいけど…カッコいい。
この顔に…弱いんだ。

「どんな感じ?」

また拓真がボールに指入れる。

「アチッ!」

「拓真!?」

「ナンチャッテ。」

開いた唇の中に…チョコの付いた拓真の指が入れられた。

「…舐めて?」

親指でアゴを固定されて…人差し指だけ入れられる。

それを軽く舌で舐めると拓真が指を…ゆっくりスライドさせた。

「…智…エロい顔…。」

抱き寄せられた俺の尻に堅い拓真のが押し付けられ…伸ばされた左手が、俺のをジーンズの上からイヤラシく撫で回した。


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