K I R I B A N
B
…おかしいな?
白い砂浜のキレイな海。
…を通り越して、なぜかゴツゴツした岩場に僕らは並んで座ってる。
「ホレ。」
ここに降りる前自販機で買った水を渡されて…フタを開けて口を付けた。
心地良い冷たい感触に目を細める。
「…ありがと。」
フタを締めたペットを僕の手から奪い、佐古が続きを飲む。
何度もキスしてんのに…間接キス…って思うだけでドキドキする。
…それってどうなの?
「西野…顔赤いぞ?」
「え!」
そう言われて一層顔が熱くなった。
そんな僕の顔を覗き込み佐古がニヤニヤする。
「…何だよ…?」
「いんや。別に。」
外した視線を海に向けて佐古がクスッと小さく笑った。
「…ここはここで…いい場所だね。」
周りは崖に囲まれて足元は岩。
ムードもなんにもあったもんじゃないけど…静かで妙に落ち着く。
「俺…釣が好きでさ。」
おもむろにそう話し出した。
こんなサイズのアジを釣ったーとか、カニがさーとか。
そう話す佐古はいつもと違ってまるで少年みたいで。
まぁ…僕らはまだ立派に少年だけど。
楽しそうに話す佐古を見つめながら…体の底から好きって気持ちが沸き上がってくるのを感じた。
シャツの袖をキュッと掴んで…大好きな唇に触れるだけのキスをした。
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