K I R I B A N
A
あれから…
エッチして少しした後、僕に腕枕したまま佐古が耳たぶを噛んで。

「出掛けようぜ?」

そう言って、今は二人して寮の前にいる。

「…どこ行くの?」

「ん?秘密。」

「…。」

いぶかしむ僕を見下ろし目の前に置かれた自転車の後部をポンポンと叩く。

…乗れって事?

「佐古…二人乗りはいけないんだよ?」

「いいから乗れ。」

サドルに跨がった佐古が威圧するようにそう言い…僕は渋々、後ろに座った。

「ちゃんと掴まれよ?」

「…うん。」

そして…ゆっくりと動き出した。

緩やかな坂道を下ってると少しスピードが速くなって…転びやしないかとドキドキして佐古の背中にキツくしがみ着いた。

「もっと…強く抱けよ。」

前からそんな言葉が聞こえた気がして…もっとギュッとしがみ着く。

チラと後ろを見た佐古が…微かに笑ったようにも見えて。

「…なに?」

「いや…。」

何となく恥ずかしくなって佐古の背中に顔を埋めた。


坂を下りきった駅前を左に折れひたすら走り続けて…右側を流れる川に視線を向けた。

このまま行けば白い砂浜のキレイな海にたどり着く。

行く先がそこならいいけど…佐古と一緒ならどこでもいいかな。


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あきゅろす。
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