K I R I B A N




緩やかな風がカーテンを揺らしソファでうたた寝をしている愛しい恋人の前髪を揺らす。

ホント…この人はどんな状態でもかっこよくてキレイ、だ。
男の俺でもみとれてしまうくらいに。

膝の上に広げられたままの新聞を手に取りたたんでラックに戻す。
その足でクローゼットに向かい薄手の毛布を持ってきて膝に掛けると…。

「…とも。」

眠りの浅い拓真は静かに目を開けソファから俺を見上げて手を伸べてくる。
その手を握ると…。



グッ。



そのまま俺は彼の腕の中に引き入れられた。

「ごめん、起こした?」

唇に触れるだけのキス。

「どの辺りで起きた?」
「お前が新聞とった時かな。」
「……最初からだね。」

苦笑いをする唇にもう一度触れ、開いた隙間から拓真の舌が滑り込んでくる。

緩く絡んで解け、また絡まる。
その繰り返しをしながら段々とキスは深くなっていく。

「…ん…っ…」

やっと解けた唇がまた近付き重なり、ルートを首筋へと移して…。

「ん?……スケブ?」

耳元での拓真の声に我に返り抱き合っていた体勢からパッと離れる。

「…んだよ。」

不満げに唸る拓真を見ながら。

「拓真、良かったら絵のモデルになってくれないかな?」

と言った。

「絵のモデル?俺に裸にでもなれってか。」
「いやいやそんな…」

背もたれに踏ん反り返り足を組んで俺を見上げる。

「美術の課題でね、……身近な物のデッサンていうのが…」
「いいぜ。」
「え?」

説明途中の快諾に驚いて見返す。
するとその場から立ち上がった拓真は。

「なんで驚くんだよ、お前がオネガイしてきたんだろうが。」

呆れたようにそう言って俺の髪を撫でながら唇にキスをして。

「交換条件として美味いコーヒーと夜のサービスを要求する。」

そう言って口の端を上げて笑いもう一度キスをしてきた。





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あきゅろす。
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