K I R I B A N





治まりかけた拓真の怒りが再燃してしまい俺は慌ててその大元である和美さんをキッチンに連れだし、テーブル席に座ってもらった。

「なによなによ拓ちゃんたら!」
「はは…。」

拓真を怒らせたという実感がないのか和美さんはプゥと頬を膨らませて怒ってて。
そんな彼女がうちの芹にかぶってしまい俺は苦笑いをした。

「和美さん何か飲みます?」

気分を変えようと食器棚の前に立ち彼女と俺と拓真用のマグを取り出す。

「んー出来ればビールがいいなぁ。」
「ダメです。」

甘えた口調で胎児に悪影響な飲料をねだる和美さんの台詞を却下。
"えー!"とブーブー言う姿がまたもや芹にかぶり俺は深い溜め息を吐いた。

「でもねぇ、ホンっトに昔の拓ちゃんは可愛かったのよ?」

レンジで温めたミルクを手渡す俺に和美さんがニコニコな笑みを向ける。
そう言われたら…やっぱり気になってしまって。

「…そんなに可愛かったんですか?」
「うん、メチャクチャ!智ちゃん見たい?」

キラキラと輝く和美さんの瞳を見返し一度頷く。
すると彼女は座ってる場所の隣の椅子に置いてある自分のバッグを開きごそごそと中をあさって。

「あ、あったわ。ほらほら見て!」

そう言ってパスケースから一枚の写真を取り出した。



「!」



手にしたそれを見て…目がテンになる。

「え………ええっ!?」

そこに写ってるのは…多分小学生くらいなのかな?
今よりも目は大きくて丸くて少しふっくらしてて…子供らしい顔付きではあるものの、でもやっぱり"拓真"で。

「目付き悪いのが小生意気な感じで可愛いでしょっ!」

キャッキャと笑う和美さんに頷いてこたえつつ視線は写真に釘付け。

だって…今の拓真は目はキレ長だしアゴのラインだって鼻筋だってシャープだから"大人の男"って感じだけど、昔の姿はまるで"小悪魔"。
あまりのギャップに驚きを通り越して…。

「智ちゃん口開きっぱなしよ?」
「あっ…」

実際開きっぱなしだった口を閉じてそのまま掌を添える。
俺は決してショタではないけど…この可愛さにキュンとしてしまい、そんな自分に一人苦笑いをした。





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