K I R I B A N
3
大好きな恋人の手料理をたいらげたお皿を片手にキッチンに入る。
するとその背後にピタリと寄り添った拓真が俺の身体に長い腕を巻き付け肩口に顔を埋めた。
「…智。」
甘く低く響く声に身体の芯がじわりと疼く。
いつから俺は…こんないやらしい身体になってしまったんだろう。
そう思いながら愛しい人からの甘いキスをゆっくりと味わった。
「たく…」
唇が離れ開いた視界の真ん中にいる拓真をみつめて。
「たくは俺の…どこをそんなに好いてくれてるの?」
心の片隅にある疑問を聞いてみる。
…と、目の前の拓真は呆気にとられたような顔で俺を見ると苦笑いをしてもう一度視線を戻して。
「じゃあそういうお前は俺のどこがそんなにイイんだ?」
なんて逆に聞かれてしまう。
突然の質問に驚き俺は二の句を継げず黙ったまま背後の拓真をジッとみつめた。
サラサラなブラウンの髪もキリリとした目元も意地悪ばっかり言う唇も…好き。
細いのにしっかりと筋肉のついた身体も俺を抱いてくれる腕も好き。
ドSなところもシビアなのに優しいところも…全てを余すところなく、愛してるから。
「俺は…拓真の全部が好きだよ。」
そう言ってから自分が何を言ったのか、とか色々と気付いて湯気が出そうな程に熱い顔を掌で覆い隠した。
けど…やっぱり隠させてはもらえないみたいで。
グイッ。
顔を覆ったはずの両手を外され、目の前には俺の大好きな人のドアップ。
カァッ…と熱くなった頬に拓真の唇が寄せられて。
「同じだ。俺もお前の全てに惚れてる。」
甘いセリフに全身が一気に熱くなった。
繰り出されるキスはいつになく甘くて…濃い。
深く絡まった舌が解かれ唇が離れて、柔らかな笑みにドキッとしながら拓真の唇に触れるだけのキスをした。
「マジ…お前は可愛いよ。」
「可愛いとかって…嬉しくないよ。」
耳元に寄せられた唇がクスクスと笑いながらキスをして…引き上げられたパジャマの裾から細い指先が這い上がってくる。
「たく…」
愛しい名前を呼ぶとその愛しい人は俺をみつめて優しく笑って唇にキスをくれた。
軽くついばむキスの合間に胸の突起を摘まれ緩く捏ねられて…自然に揺れてしまう腰を隠すように拓真の首に腕を巻き付ける。
「相変わらずエロいな…ともチャンは。」
…けどやっぱり気付かれてしまい、恥ずかしさに熱くほてる顔を拓真の胸に押し付けた。
「キスとコレをいじるだけでこんなに感じちゃうんだもんなぁ?」
意地悪く囁く声にさえ身体が反応を示す。
こんな時にやっぱり俺はMなんだなぁ…なんて今更ながらに自覚してしまう。
右手に引き寄せられた腰が拓真の前と重なる。
「俺もお前の事、言えねぇけどな。」
その言葉通りの完勃ちの硬さにドキドキしながら俺は拓真の唇にキスをした。
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