K I R I B A N
2
コーヒーを飲んでいる途中で拓真から朝食のリクエストを聞かれて。
あまりにも突然の展開に喜びが先にきてしまった俺は何も思い浮かばず"拓真にお任せ"をお願いした。
目の前のキッチンの中では大好きな"俺サマ"が俺の為にご飯の支度をしてくれている。
それが嬉しくてとてつもなくこそばゆい。
「なにニヤニヤしてんだよ。」
するとまたそう言われて俺は思わず頬を押さえる。
菜箸片手にフライパンをあおっていた拓真は意味深な笑いを俺に向けてIHの電源を落とした。
カチャ…
目の前に置かれたお皿の上には玉ねぎとピーマンとベーコンが入った美味しそうなナポリタン。
起きてあまり時間が経ってないからそんなに腹減りじゃないはずなのに…この美味しそうなケチャップの香りはこの上なく俺の食欲をかきたてた。
「ありがとう。いただきます!」
掌を合わせてお辞儀して、手渡されたフォークをクルクルと回して…パクッと一口食べる。
口いっぱいに広がるうま味と丁度いいアルデンテに俺はまたニヤニヤしてしまった。
「お前はマジ美味そうに食うよな。」
キッチンから出てカウンター席の隣に座った拓真がおもむろに手を伸ばし俺のアゴに指を添える。
何事かと思っている……と!
ペロッ。
俺の唇の端を…拓真が舌で舐め上げて。
「な…っ!」
「美味い。」
そしてそのまま唇にキスをしてきた。
「早く食い終われよな?」
離れた唇がそう言いもう一度、触れる。
熱い顔で拓真をジッと見返すと…俺の恋人は口の端をクッと上げいやらしい視線を俺に向けて。
「その食器洗い終わったら、ベッドでお前を食うから。」
そう…言った。
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