K I R I B A N
6
トイレを出た俺と大葉はそのすぐ足元に置かれてた俺達の鞄と…なにかのカードとその下に敷いてある紙に書かれた走り書きに視線を下ろした。
《鍵をかけたらドアのポストに入れとけ。》
「これって…」
「ここの鍵なんだろうな?」
ゴールドのカードを拾ってそれをマジマジと見つめてると…。
『……ぁ……』
…って何やらエッチぃ声がリビングの方から聞こえてきた。
「…どこそこ構わずサカりやがって。」
“チッ”と舌打ちをした大葉を見上げてピンとくる。
もしかして…くどーとお義兄さまが…??
ワクワクな気持ちをこらえてゆっくりとリビングに向かう。
…すると。
ガシッ。
その襟首を後ろから掴まれて玄関の方にズルズルと引っ張られてく。
「なんでなんで!俺、人のエッチしてるとこ見た事ないし…」
「見んでいい!」
少し慌てたような大葉の声に頬を膨らませながら、俺達はアダルトな愛の巣を後にした。
◇◆◇◆◇
いつもよりもどことなく早足で寮に戻った俺達は……早速。
「…だからこっちに×0.25だよ。」
「え?なんで!」
…と、会議で聞いた予算の計算方のオベンキョーを始めた。
「んー…………」
大葉の説明はとっても分かりやすい。
…の、に、…。
シャーペンを机に置いて腕組みして低く唸る。
そんな俺に苦笑いを向ける大葉はフッて笑って俺の頭を優しく撫でてくれながら。
「大丈夫、まだ時間はたっぷりあるからな。」
「えーっ!!」
…と、どこか意地悪風に言ってニコッと笑う。
「時間あるなら…エッチがシたいよ…」
「さあ、次はこれを計算してみようか。」
ブーたれる俺の前にさっき解いたのとは違う数字の表が出されて…。
「もしかして大葉…さっきの仕返ししてる?」
怪しみながらすぐ隣にいる大葉を見つめると…俺の大好きな人は、俺の大好きな優しい微笑みを浮かべて意味深に笑った。
‐END‐
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