K I R I B A N




勢い良くトイレにこもってみたものの…ドアの向こうではなんか凄い事が起こってるらしく、兄さんの怒鳴り声やらキャーキャーって和美ちゃんと涼菜ちゃんの声が聞こえてきて…。

「なんか…俺、出た方が良くない?」

連れ込んだくどーに振り向きそう聞くと。

「うーん…今は出ない方がいいと思うよ。」

くどーは苦笑いを返してきた。

それから…頭が冷えて冷静になればなる程、俺がした事がムチャクチャでダメダメだった事に気付いてズドンと自己嫌悪して…。
それをくどーに…まるで教会のザンゲ室にいるみたいにひたすら話しているところで、ドアがノックされた。







◇◆◇◆◇







「大葉…」

心の準備がまだ半分も出来てないのにイキナリこの狭い空間に二人きりにされて…変な緊張感に心臓がドキドキする。

「芹…」

かけられた声に顔を上げると俺の大好きな人の少し困ったみたいな表情があって。

「ごめんなさい!」
「ごめんな。」

ペコンと下げた頭同士がゴチンとぶつかり俺達は…なんとなく笑いあった。

「…ごめんね大葉。俺、勝手に一人でプンプンしたりして。」
「俺こそすまなかった。最初にちゃんと言っておけば…それに一言足りなかった。」
「大葉は悪くないよ!」
「いや芹こそ…!」

…ってまたいつもみたいに謝りっこして…抱き締めあって、キスをした。

「芹…好きだよ。」

優しい大葉の声に胸も身体もキュンってなる。
『俺もだよ』って言いたいけど…なんとなく恥ずかしくて大葉の胸に顔を埋めた。

「とにかく無事で何よりだ。…そろそろ平気かな。」
「平気って?」

小さな呟きに首を傾げると苦笑いをした大葉が俺のおデコにキスをしてくれながら。

「久遠の奴が拓真の機嫌を直してくれている頃だろうから…外に出ようかって話。」
「え!お義兄さま怒ってるの!?」

ビックリしてそう聞き返すと俺の大好きな人はとっても苦い苦い顔をして笑った。





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