K I R I B A N

‐良介SIDE










途中でぐだぐだになってしまった会議も無事に終わり資料を整えてひとつ溜め息。
…すると。

「芹くん…帰って来なかったね。」

隣に座る小松が溜め息交じりにそう言いチラと俺を見て。

「全く…大葉があんな言い方をするから。」

そう言ってフッと短く息を吐きだし席を立った。

「今日の場合はどう見たって芹が悪いだろ。」

そんな小松の溜め息を遮るように現れた秦修司が呆れたような顔をしながらやってきて…。

「悪いとかそういうの言ってるんじゃないんだよ!」
「なんだよ陸!会議そっちのけで恋人ガン見して話のカケラも聞いてないヤツの肩持つのかよ!」

…と何故か二人がケンカをし始めた。

「落ち着けお前達。」

深い溜め息を吐きだしながらゆっくりと立ち上がりそんな二人の仲裁に入る…と、ブレザーの懐に入れていた携帯がブルブルと低い音での振動を始める。
それを抜き出し背面画面を見ると…。

「…拓真?」

そこには我が兄貴の名前が。
訝しみながらパカリと開いたそれを耳に当てた。







◇◆◇◆◇







いやに流れの遅い人並みをかき分けて電車の改札を抜ける。
短い階段を下り、降りなれてはいないが来慣れ始めた道を迷わず真っ直ぐに走っていく。

さっき学校で受けた電話では…芹が拓真のマンションのトイレに立て篭もっている、との事で。
一体何事かと聞けば。

『ルセー!とっとと来やがれ!』

とキレられ一方的に電話を切られるしまつ。

「…久遠を巻き込んでいるんじゃ仕方ないか。」

大きく溜め息を吐きだし到着したマンションのチャイムを鳴らした。



ガー…



すると間髪入れずにガラス張りの自動ドアが開き俺はそのまま中に走り込む。
エントランスを抜けて廊下をひた走り…我が兄と我が親友の住む“愛の巣”のドアを勢い良く開けた。





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