K I R I B A N




長い長いクラス委員の会議中の楽しみと言えば…大好きな恋人・大葉の声を聞いてられるのと、素敵な大葉を誰に気兼ねする事なくずっと見つめてられる事。

今日も変わらず瞬きひとつもしないでガン見している時に、前の席からプリントが回されてきた。

「…と言うわけで次回提出分から予算の算出方法が若干変わる。そのプリントに詳細が書いてあるので軽く目を通してみてくれ。さっきの説明と、それを読んでみてもわからないようなら聞きにくるように。」

良く通る声にウットリしながらプリントを見る。


…説明?


どうやら俺はその大事な説明を聞き過ごしてしまっていたらしく何が何やらチンプンカンプン。
どうしようかな…と思いつつ、ザワザワする中立ち上がりそそくさと教卓の前に進んでイイ男を笑顔で見つめた。

すると大葉は溜め息をひとつ吐いて俯き、掌で顔を覆うようにして。

「芹…いくらなんでも早過ぎるだろう。」

と、低い声で唸った。

「えー、だって…」
『だって…俺がアレコレ悩むより大葉が教えてくれた方が解るもん!』…と思ってる背中にチクチクと視線が突き刺さる。
チラと後ろを向いてみれば…そこには他のクラスの委員達が並んでて。

「コラ六組!」
「恋人だからってズルいぞ!」
「そうだ!そうだ!」

そう口々に叫んだ。
俺は当然の権利を振りかざそうと大葉を振り返って……ちょっと怒ってる風な黒い瞳とバッチリ目が合った。

「お…」
「芹は後だ。」


…え?


そう言われて目が泳ぐ。
パチパチと瞬きをしてからもう一度大葉を見つめると。

「聞こえなかったか?芹は後で、だ。」

そう言って…俺の後ろの人に手招きをした。



プツン。



瞬間、俺の意志とは関係ナシにホッペタがプッと膨らむ。
そして…。

「なんだよ大葉のバカ!俺の事なんて後回しなんだね!もういい!」

心に思った不満を一気に吐きだして俺は会議室を飛び出した。





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