K I R I B A N




勢いに任せ少しばかり強引に挿れてしまったから、芹の身体を傷付けてしまったんじゃないかとヒヤヒヤした…が。

「あッ…りょー…ッ」

フェラをしてもらう前にナカをいじっていたおかげで…心配するまでもなかった。
とっくに柔らかくなっていた入り口は傷付くどころか待ち侘びていたかの様に俺を受け入れ、動きを助けてくれる。
でも…。

「せり…痛く、ないか?」

突然だったからやはり気になり感じている可愛い恋人にそう問うた。
すると芹は予想とは違う嬉しそうな表情を俺に向けて。

「夢でも…そ、聞いて…たよ…」

途切れ途切れにそう言いながら笑った。

「夢で同じように?」

コクンと頷き、ふわりと笑って。

「痛くない、キモチイイ…って…言ってるの…に」

そう言って唇に自分のを重ねてきた。

「りょーとなら…ッ…痛くても、イイもん」

可愛い事をサラリと述べられ返事に困り更に奥へと突き挿る。
細い腰がしなり俺の体に巻き付く芹の腕に一層力がこもった。

「良くない。」

首筋にキスをして舌先でツ…と撫で上げ耳たぶを噛んで。

「一緒にスるのにお前だけが痛い思いをするのは…ッて!?」



ガブッ!



言葉の途中で左肩に激痛が走る。
ギョッとして視線を向けると…俺の肩に芹が噛み付いていた。

「なに…」
「俺ホントに…痛く、ないよ。りょーの方が…ッ…痛いから、もっと、痛くしても…いいからね」

そう言って笑う顔を見つめて…胸がキュンと音をたてた。

どう表現したらいいんだろう、この…どうしようもなく温かい、甘い気持ちは。
こんな時、自分の表現力の乏しさに呆れてしまう。

「せり…」

愛しい恋人の名前を呼んで可愛らしい唇に口付けて。

「俺はお前を大事にしたいんだ。だから…痛くしたくない。」

なんとかたどり着いた答えを伝えた。
…なのに。

「プッ…」

何故か芹は吹き出してからまた更に嬉しそうに笑って。

「それも…言ってくれたんだよ?なんかこれって…デジャヴ?」

そう言われて唖然とする。
俺が必死に捻出した答えは言わなくてももうすでに芹の中のどこかにあったんだ、と。


なんか…
なんていうか。


「もしかしたら…芹の方が一枚上手なのかもしれないな。」

力無く笑う俺に向けられる可愛い笑顔。

ツボも考え方も違う俺達だがいつの間にか芹は、芹なりに俺の事を理解してくれていたんだ。
そう思ったら…無性に嬉しくなって。

「せり…好きだ。いや…愛してるよ、たいち…」

細い身体を抱き締め可愛らしい顔を見つめながら唇を重ねる。

「も一回…言って?」

嬉しそうに笑いながら芹は俺に“愛の言葉”を要求した。

俺は…その通りに何度も何度も、互いが達した後も…熱い抱擁をしている時にも。
可愛い芹が眠りにつくまで愛の言葉を囁き続けた。









‐END‐


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