K I R I B A N




爽やかな朝、みんなと囲む朝食は美味しさにまたひとつプラスされる素敵な調味料で。

「楓。」

そして僕の隣に座る大好きな恋人の優しい笑顔は大好物のチョコケーキと同じくらいの美味しいデザート。
…なのに。

「ここに飯粒ついてるから。」

そう言って僕のほっぺたをプニッと指先で突いた。

「え?」

慌ててその指先を辿るけど…それらしい物には出くわさずただただ焦る。

「え、どこ?分かんないよ…」
「なんで分かんないんだよ…ほら。」

やっとの思いでそれを発見して急いで茶碗にくっつけると。

「もぉ西野ったら子供みたい!」

正面に座ってる芹に…ムチャクチャ笑われた。

「子供じゃ…」
「今頃気付いたのか。楓は恐らく芹より子供だぞ、な?」

……と。
佐古ったら…恋人とは思えないようなひどい事を言って悪びれなく笑ってみせた。

「…佐古。」

地味な怒りが沸き上がったけど…向けられたキレイな笑顔を見てしまったら僕には佐古を責めるような事は言えない。

これが惚れた弱みと言うならば…僕には佐古に勝てる可能性なんてひとつも用意されてない事になる。

「…楓?」

でもやっぱり…大好きな人の顔を見ちゃったんだもん僕には万に一つだって勝ち目はないんだ。





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