K I R I B A N




そぼ降る雨の中に佇む智を見付けた時はなんとも言えない気持ちだった。
だが…
一番最初にしたのがハグで次がキスだからきっと俺は智がそこにいて嬉しかったんだと思う。

「たくっ!お店の人、見てる…」
「見せとけ。」

長いキスの後の熱い抱擁の最中も俺の恋人は周りばかりを気にする。
そこがイマイチ気に入らないが…今ならどんな事だって許せそうな気がした。

「たく…」

胸の中からの声に抱き締める腕に力を込めて応える。

「携帯の電池切れちゃって…会えなかったらどうしようって思ってた。」

華奢な身体から力が抜けて俺にその身を預けてくる。
俺は言葉を返さずもう一度愛しい恋人を強く抱き締めた。








◇◆◇◆◇







結局俺達は飯を食いに出たハズなのに『まめろう』前でタクシーを拾いそのまま真っ直ぐ部屋に帰った。
そして着くなり風呂場に直行して…雨で冷えた身体を熱い湯と互いの体温で温めあった。

何度もキスを繰り返し解いた唇をなめらかな肌に寄せ、本人さながらの遠慮がちな体温に唇で舌で…俺の熱を移していく。

「あ…っ…」

薄く開かれた唇から洩れる声を糧に更に深く貪る。

白いタイル貼りの壁にもたれた智のほんのりピンクに染まった身体がしなる度…欲しい欲望を抑えきれずに繋がってる箇所から更に奥へと押し進んでいく。


…たまんねぇ。


何度抱いても何度味わい尽くしても足りない。
さっきまでの会えなかったたった数時間の隙間を埋めるかのように俺は愛しい恋人を余すところなく愛し続けた。







◇◆◇◆◇








風呂場でヤった…にもかかわらず沸き上がる欲望を抑え切れずに智を抱き上げそのままベッドへと向かう。

「たく!シーツ濡れちゃ…」
「どうせお前ので濡れんだから気にすんな。」

拭きあげ途中の細い身体をベッドに下ろしその上に重なる。
すると智は観念したのかクスリと小さく笑うと俺の首に両腕を巻き付け静かに息を吐いた。

それを"YES"と受け取り首筋にキスをしながら薄い胸をまさぐりキュッと締まった突起を指先で揉みしだく。

「あッ…ん…」

耳元で響く甘い喘ぎが合図かのように、さっき繋がったばかりの柔らかな智への入口を指先で開くとゆっくりとそのナカに身を沈めていく。

「ん…ぁ、たく…」
「バカ…締めんな。」

感じている智の強い締め付けに我慢出来ずまだ半分にも満たない場所からスライドを始めた。

ギシギシと軋むベッドのスプリングの音を聞きながら快感に声をあげる愛しい恋人を見下ろす。

額にかかる前髪を直してやるとその潤んだブラウンの瞳が俺を見つめ…甘く溶けた。

「…愛してる。」

まるで息を吐き出すように自然に出た声に智はやんわりと笑って応えて俺の唇に触れるだけのキスをくれた。

沸き上がる愛しい恋人への熱い思い。

ありったけのその思いを込めたキスをしながら俺は…愛しい智の熱いナカで果てた。









‐END‐


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あきゅろす。
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