K I R I B A N
2
ピピピピ…
耳障りな電子音で目覚めその忌ま忌ましい音の方に手を伸ばしてフォルダーから携帯を外す。
いつの間にか寝入ってた事に気付きボンヤリとする頭を振りながらフラップを開いた。
「…こんな時間か。」
アナログ時計にしてた壁紙の時計の針は丁度三時半を示していて…俺はその場で軽く伸びをすると裸の身体を起こして立ち上がり浴室へと向かった。
◇◆◇◆◇
身支度を整え部屋を出て…下りのエレベーターに乗り込みコートの内ポケットを探る。
取り出した青い箱から煙草を一本引き抜きくわえるのと同時にドアが開いた。
そのままエントランスを抜け駐車場側の出入口辺りでくわえてた煙草の先に火を点け外に出る。
頬にあたる少し冷たい空気に目を細めた。
…そして。
「あれ…。」
コートのポケットを探る。
「…おいおいマジかよ。」
触れ慣れた鍵がない事に気付いて苦笑いをひとつ。
「まだ時間もあるし…歩くのもたまにはいいか。」
独り言を呟き車に背を向けると俺は駅に向かってゆっくりと歩き出した。
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